久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

鍵師の流儀 (二見書房 シャレード文庫)

鍵師の流儀 (二見書房 シャレード文庫)

  • 鍵師の流儀

★★★☆☆
評価が厳しくなりました。鍵師の技を封印しているタトゥーの彫師・泉。彼のところへ警察から金庫破りの依頼が来ます。その話を持ってきたのがワイルドな刑事・岩谷なのですが・・・金庫を開けなければならない理由も、それを拒む理由も、暗殺者に追い回される理由もわからなくはないのですが、特に警察の内通者とテロリストのくだりが今の日本には合わないかなと感じちゃったので、なんだか現実味が薄くなっちゃった分盛り上がりに欠けちゃいました。
鍵師の技に関する泉の葛藤や、泉を守ろうとする岩谷、信頼していた仲間に裏切られたかもしれない苦悩などは良かったと思うので、あくまで“カーチェイスやドンパチ”の展開がもうちょっとどうにかなればもっと面白かっただろうと思います。

闇を抱いて眠れ (キャラ文庫)

闇を抱いて眠れ (キャラ文庫)

  • 闇を抱いて眠れ

★★★★☆
道楽でゲイ相手のバーを経営する武田の店の入口で行き倒れていたのが、直哉という名前しか覚えていない美青年。人を殺したかもしれない、警察に行くのも怖いと言って縋ってくる直哉を武田は保護してしまいます。33歳にして他人と深く関わらず、あとは余生と思っていたような武田だったのですが、過去の記憶に関わるようなことにいちいち怯える直哉を放っておけず、どんどんのめり込んでいくのです。ある意味、問題を抱えた直哉のおかげで眠っていた武田の目を覚まさせたと言ってもいいと思います。直哉という全てが謎のような男の背景が少しずつ分かってきて、事件の真相もハッキリしたところで1話目「闇を抱いて眠れ」は終了。そこで終わるの?それでもいいけれどその後どうなる?を引っ張って第2話「涙の行方」へ。記憶が戻った分悩みも増えた直哉は、自分の弱い部分を克服しようと思い、メンタルクリニックに通いだすのですが・・・直哉が大事でしょうがない武田と、守られるのではなく対等でいたい直弥の気持ちの微妙な食い違い。1話目はどちらかというとサスペンス仕立てでしたが、2話目は心理物の色合いが濃くなっています。1話目では結構くったくなく色っぽく武田の誘いに答えていた直哉が、それどころではなくなっていくのです。で、武田は戸惑いながらも何とかしてやりたくて、彼は彼なりに画策するわけです。
このお話のどこがおすすめかといえば、まずは直哉の色っぽさでしょうか。そして、世捨て人のようになっていた武田の気持ちの変遷と直哉が葛藤する部分です。その人の軸となっている部分を修正していくのって大変なんだなぁと“育ってきた環境”って重要だよなぁと考えさせられたお話でもありました。
このおはなしにも“アッシュブロンドの短髪”が出てきます。ん?これは「誓約のうつり香」のチカですか?って思ったのですが、今回はチカさんではありませんでした。サトミさんだそうです。彼がなかなかいいことを言ってくれています。