久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

子連れオオカミ (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

子連れオオカミ (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

  • 子連れオオカミ

★★★★★
欠点が無いわけではないのですが、とにかく面白いので★5つ!バツ一・子持ちの男二人が偶然同じ日に同じアパートに引っ越してきたことからお話は始まります。妻に逃げられ、まだまだ手のかかる子どもを保育園にあずけながら会社勤めをするふたりは、境遇こそ似ていますがキャラクターが全く違い、さらにその息子たちがそれぞれ個性があります。
かたや外見のワイルドさに比べ穏やかで世話好きな田所。子どもは未だにおしゃぶりをくわえおっぱいを欲しがるような甘えん坊で喘息持ちの美少年・旭。かたや優しげな外見の割にはおおざっぱで明るい負けず嫌いで甘ったれの宮本。子どもは元気いっぱいでしっかりしているが、言葉の発達に問題がある千寿也。
ある日二人で酔いつぶれて、何かがあった痕跡があったものだから、それを否定しようとジタバタする二人。避けて通れないのが子どもたちで、何かというと目撃者となっています。ジタバタすればするほどお互いを意識しだし、最終的には「男として父親としてモラルやプライドもあるけれど」相手を好きなんだということを受け入れるのです。先は思いやられるものの、支えあって仲良く暮らしてねって思いました。
続編はお見合い話と3歳児健診をからめたあれこれです。育児というのは夫婦でやっても大変なものなのに、男手一つで育てているところに健診で問題を指摘されてしまえば、親の責任を感じて落ち込んでしまうのも当たり前です。明るく甘ったれの宮本が日に日に暗くなり、終いには見合い結婚に逃げてしまうのです。引き止められない田所が悲しい…。しかし、子どもたちが小学校に上がる頃、子どもが一人増えた宮本と在宅仕事が増えた田所は再びの偶然で引っ越し先で出会うのでした。あー、よかった。描き下ろしでもその後がフォローされており、パワフルな元妻も登場。ここまできたら、もう怖いものなしなんじゃないんでしょうかお二人さん。
で、何が一番心に残ったかといえば、子育て。3歳にしては幼い気もしますが、「うん、そうだよね、わかるわかる」といったシーンがいっぱい。子どもは子どもで勝手に動いているけれど、親は目を離せない。ちょっと離すとさあ大変とかになっちゃうわけで、苦笑いの連続でした。強い子に育つんだよ、みんな。
他の作品、キャバクラのマネージャー×会社社長のお話は、社長の妹(BL好き)のおかげで不器用でもどかしい二人の関係が少しずつ進展していく仕組みになっています。キャバマネージャーの方はまだ、妄想したり駆け引きしたりと先に進むことを考える人ですが、社長がとにかくすっとぼけていて(もしかすると、安全パイを引くまで勝負に出ないタイプで、一番ずるいのかもしれないけど)うまい具合にもどかしいお話になっています。リバもまた良し。

王子が愛したスパイ (花音コミックス)

王子が愛したスパイ (花音コミックス)

  • 王子が愛したスパイ

★★★☆☆
高井戸氏は作家買いしているので、読んでみました。表題作は「王子」帯も「下僕」なんて出てきたのでどんなお話かと思いましたが、カバーの二人に既視感が・・・そうです、ブレックファーストクラブのお二人の話でありました。彼らが23歳になっています。相変わらず飄々とした天才の犬山は、ゲームソフト開発で一儲けしながら道楽で探偵事務所を開いています。「愛妻」三木は研究好きを極めるため化粧品会社に就職しましたが、まだまだ新人でやりたいことはできず人間関係は面倒で、ストレスを感じています。
そんなところに飛び込んできたある国の王子の警護の仕事。気分転換のためにもいいのではないかと三木に任せられます。三木を気に入った王子はモーションをかけてきますが、三木はまったくなびかない。だって犬山が一番好きなんだもの。このお話は、王位継承のトラブルが主軸、他のお話は犬山をヘッドハンティングするための陰謀とか、三木の病気に不思議な同僚が絡んでくるお話などあります。あいかわらず犬山と三木がブレないし淡々としているので大きな感動とかはないのですが、皮肉が効いていたり二人はあまあまだったり、なかなか楽しく読めました。同僚の山中くんのその後の話はこの後描いていただけるのでしょうか?
同時収録は高校生同士のお話。少しずつ近づいていく二人の関係が「視線」を中心に追われます。こっちの方が熱さを感じる作品です。