久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

イノセンス―幼馴染み (幻冬舎ルチル文庫)

イノセンス―幼馴染み (幻冬舎ルチル文庫)

旦那が不満そうなので、感想文はまた今度書きます・・・・・おやすみなさい
今日は6月1日です。改めて感想を書きたいと思います。

★★★★☆
実は、ちょっとした酷評を先に目にしていたので、こわごわ読み始めた部分があるのですが、そんな懸念は不要でした。キャラ設定が特殊なので、もしかしたら只のお涙頂戴ものととられてしまう可能性もあるかと思いますが、私としては、睦に癒されている部分が多かったし、彼を取り囲む人たちの“結構いい人”なところにまた感動したりして、終わりよければ全てよしの気持ちいい読後感でした。
乃々山睦はいわゆる学習障害を持っているため、健常者とは微妙にズレた言動を取ってしまうのですが、素直で真面目で純粋です。彼の隣に住んでいる幼馴染のクルちゃんが、このお話のもう一人の主役なのですが、こちらはある事情で必死に勉強し高みを目指している人なのです。こんな両極端に思える二人がお互いを必要としながらも、それぞれの置かれた状況に振り回されてなかなか素直になれない(素直になれないのはクルちゃんだけですが・・・)ので、計4話を終わってやっとハッキリとしたハッピーエンドになったときは、本当にホッとしました。
睦は守られて当然な存在ではなく、何とか自分の足で独り立ちしようとしているところに大変好感が持てました。もしこれが現実の世界であったなら、こんなにいい具合に味方になってくれる人たちが現れたり、おいしい仕事が見つかったりはなかなか難しいのでしょうが、現実がこういう世界だったらみんなそこそこ幸せになれるんじゃないかと、ちょっと希望を持てる世界感でした。
実際のところはクルちゃんのほうがより大きく睦を必要としている人なので、第一話「幼馴染み」で始めのうちに張られた伏線のひとつは“伏線”だとわかってしまうくらい印象的だったのですが、それでも第二話「再会」でそれに関わるシーンに出会ったときは、(電車内だったので)泣くのを耐えるのに一苦労しました。
幼稚園の頃から始まって、29歳までの長い年月のお話でした。「睦が真っすぐかどうかなんて、たいした理由じゃない。大事なのは、睦といると自分がそう変われるということだ」長い時間かけてやっとクルちゃんが悟ったこの言葉、“自分がどうありたいか”が大切だと思いました。あと、エッチのときの睦のセリフ「俺、バラバラになりそう。小さくなって、別のになりそう」あー、とってもいい表現だなと思いました。