久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

音無き世界 (SHYノベルス)

音無き世界 (SHYノベルス)

  • 音無き世界

★★★★☆
もどかしいのは杉原さんの十八番みたいなもんですから、まぁいいとして、今回はいつも以上に淡々とお話が進みます。お話の半分くらいは12年前のことを振り返っている感じなのですが、主人公の一人、映画ライターの水原英之は16歳から28歳の今まで、始終落ち着いているのです。取り乱すとか激昂するとかそういうことが無い。父親が小学生の遼を預かってきた時も、思いがけず再会したときも非常に淡々と受け入れるのです。常に冷静に、客観的に。そして、問題の美青年笹塚遼はといえば、育った環境からか非常に無口で、諦めがいいものだから、小学生の頃から大人びており、映研で監督をやっている大学4年生の今でも多少の変化はあるものの、諦めがよく自分を見せない部分は変わっていません。
12年前から惹かれあっていた二人が再会し、自分たちの気持ちを受け入れて、ハッピーエンドになるまでのお話なのですが、遼がまとっている“誰も好きにならない”という殻を少しずつはがしていくのに大変時間がかかります。過去から積み重なってきた問題の一つ一つを少しずつ引っ張り出し、できるだけ傷つかないように、でも明確に「これからどうしていきたいのか」を遼に選ばせるのです。しかし、物静かなイメージのある英之の、セクシャルなアピールは意外と大胆です。(確かに多少の強引さがないと、遼はすぐ逃げてしまいそうですが。)なのになぜだか熱さより温かさを感じるのです。居心地良さそうな感じなのです。
そして、最初から最後まで関わってくる遼の父親の作品“無音のフィルム”が訴えたかったこと・・・私の解釈では、「大切なものはただ一つだけ」だったのですが、それでよかったでしょうか?
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★★★★☆
「上海」番外編。腕白でいたずら好きだけれど潔いレイモンドと、彼を大変慕っているエドワードの子供の頃のエピソード、その後の苦難を乗り越えて今一緒にいられる幸せが書かれています。新書版で20ページほどなので、ちょっと物足りなさはありますが、お話そのものは楽しく読めました。王さんの作る肉餅が食べたくなりました。

  • その手の熱を重ねて 1

★★★★☆
渚のレストランのプレオープンパーティーで、初対面にもかかわらず声をかけてきた不思議な美青年・凪紗は、その後足繁くレストランに通うようになります。彼の態度に戸惑いつつもどんどん惹かれてしまう渚。
これ以上はネタバレになってしまって、この巻の面白さが半減するどころじゃないと思うので、書きません。でも、渚がどんどん惹かれていく割りに凪紗はいまひとつピントの外れた行動を取るので、なかなか前に進みません。この先凪紗の“もてないはずは無いのに恋愛経験がなさそう”な理由が明らかにされるのでしょうか?
早く続きを読ませてね。

  • 星屑町のパンのミミ 1

★★★☆☆
今だか昔だかわからない、不思議な雰囲気の舞台(レトロモダンっていうんですか?)で、父親が行方不明の姉と弟の家にやってきたのが二人の眼鏡男子。どうやら片方は千里眼の持ち主で・・・
女学校の友達の無くし物を探したり、お父さんを探したり、映画に出ることになったり、なかなか楽しい展開なのですが、まだ触りだけな感じなので、どこが面白いとまでは言えない感じです。なので★3つ。
この後彼らは探偵モドキを始めるのでしょうか?それともラブに発展するのでしょうか?それすらもわからない・・・