久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

血鎖の煉獄 (ラヴァーズ文庫)

血鎖の煉獄 (ラヴァーズ文庫)

  • 血鎖の煉獄

★★★★☆
親子だ、純粋に親子だ!と思って「そういえば、兄弟はともかく純粋な親子の小説は読んだことがあったかなぁ?」と考えて見ましたが、すぐに思い浮かびませんでした。大学生でモデルの息子・悟×医師でありスクールカウンセラーでもある父親・義政の、穏やかな父子家庭を覆すほどのレイプで始まる関係です。
親子以外に、心療内科医として患者の心の問題の解決を仕事としている父親・義政が自分と息子の関係に悩み、誰にも相談できずに懊悩するところも読みどころだと思います。なまじ知識があるので色々考えるのに、ここまでプライベートなことでは医師であるからこそ他人に相談できないのです。そこでさらに悟に振り回されちゃうわけですが。
(彼は父親以上に頭がキレます。戸惑う父親を言いくるめて自分のいいようにできてしまうほどに弁も立ちます。)
肝心な部分をネタバレするとこのお話の面白さが半減してしまうので、どう感想を書いたらよいでしょうか?記事を折りたたんでしまう方法が私には使いこなせていないので、このまま書いちゃいましょうか?
実は、義政が大変苦悩する原因のほとんどは「血の繋がった親子」なのですが、身体は快感を覚えるもののモラルがそれを許さず散々悩むわけです。しかし、あれだけいけないいけないと言っていたのに、最終的に突然それを超えて悟を受け入れることにします。私としてはそこが納得行かなくて、どうして簡単に受け入れることになっちゃったんだろうと多少不満を感じたわけです。しかし、そこにもう一つ伏線がありまして、実は血の繋がりはないのだという逃げ道ができたので、受け入れることができたわけです。そんな些細な理由だけれど、義政には自分を納得させるためにそれが必要だったんだろうなと思いました。
重要なキャラとして高校生の田端くんが出てきますが、とにかく悟と義政のキャラクターが濃いので、ちょっとかわいそうなくらい田端くんは脇役です。
親子というとつい自分と息子に置き換えたくなっちゃうのですが、困ったことに、なし崩し的にそういう関係になってしまう親子の気持ちが分からなくは無い私がいます。そのくらい我が子というのは可愛い存在なのです。だって、大事な旦那さんの一部と大事な自分の一部からできているんですよ?可愛くて当たり前じゃないですか。拒みきれない・・・いや、私はやっていませんよ!

純愛ナルシスト (アイスノベルズ)

純愛ナルシスト (アイスノベルズ)

  • 純愛ナルシスト

★★★☆☆
先日池袋のBOOKOFFに行って、安く買ってきた本です。砂原作品で入手可能なものはほとんど読んだと思うのですが、これはやっと読めました。生まれて始めてのノベルズだそうです。どおりで文章が幼いと思いました。なので、★3つ。なんだか一生懸命難しそうな言葉を使ったり、言い回しを工夫していたりする努力の影は見られるのですが、空回りしている感じ。そこのところに目をつぶれば、お話はまぁまぁな展開です。
自分の美貌にも才能にも自信を持っているタレントの瀬名とそのマネージャー・守島のお話ですが、キーワードは童貞。女性とのスキャンダルが絶えないという瀬名が、実は童貞で、性的なことに関してはとんと幼くてというところがポイントです。そして守島の捕らえどころのないところ。瀬名の事が嫌いなのか大好きなのかいまひとつ分からないのです。飄々としすぎているのです。最終的に伏線が解明され、なんだそうなのか!と思うわけですが、そこまできても守島本人があまり自覚をしていないという・・・突然瀬名のマネージャーになるくらいだから、守島の方が先に瀬名のことを好きなんだと思っていたのに、守島を邪魔にする瀬名の方がどんどん守島に惹かれちゃうし。そういう意味では、お話の組み立て方も幼さがあるのかなぁ。
でも後味が悪くないのは瀬名が結構いい子だからだと思います。文章的には怠惰なナルシストの気障男のように説明されていますが、彼の態度は鼻持ちならないときがあるものの、プロとしてのプライドをちゃんと持っていて、意外と小心者で真面目ないい奴なんです。
まだ手に入れてない本に「恋するナルシスト」というのがあるのですが、これはこの本の続きですか?誰か教えてください。