久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)

嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)

  • 嘘と誤解は恋のせい

★★★★☆
いつもならあらすじが書かれている裏表紙のアンケート(そういう意味では、十分あらすじなのですが。)に釣られ、購入いたしました。設問cに当てはまっちゃったんですね。『泥酔襲い受け』ってやつです。で、帯のアオリ、「なんだこのエロ可愛い生き物」で、陥落。
何のことはない、マンションの隣のサラリーマン・和久井を好きになっちゃった、内気なゲイの大学生・結哉のお話なのですが、着眼点が斬新で、大変楽しかったです。あとがきにて作者曰く、『必死受とうかつ攻』「今日はシリアスを読む気分じゃないな、というときに読んでいただけると」だそうです。は、表題作だけだったら、★5つでもよかったかなと思っています。続編の「ラヴァーズ・ブートキャンプ」も無人島ものでそれなりに面白かったですが、少しばかりよくある話になっちゃったかなと思うので、☆が1つついちゃいました。
味のある脇役(設問d)にあたる結哉の先輩・騎一が、内気な後輩の恋の成就のため、おかしなアンケート(設問b)を作成してきたことから、はじまります。見ているだけで幸せだった結哉が“アンケートを取りにいく”という行動を起こし(設問a)、双方への羞恥プレイとも思えるようなアンケートを重ねるうちに、和久井さんの方も結哉を意識しだし・・・それぞれの悶々とする片思いから、恋の成就まで(設問e)が書かれているのが表題作。設問cの『泥酔襲い受け』は表題作にて、『洞窟羞恥プレイ』は続編にて楽しめます。
さて、どの辺が良かったかと言えば、彼らがみんな純粋で可愛い存在だというところでしょうか。騎一先輩はともかく、結哉も和久井さんも穏やかで、相手のことを思いやれる人なのですが、常識人の裏側に結構性欲を溜め込んでいて、時々それが流出してしまうという・・・もう、作品全体の色が“エロ可愛い”感じと“ウケ狙い”とも思えるようなギャグ満載(ただし、ドタバタじゃないので嬉しい)なので、こいつらどんだけおめでたいんだと思いながらも楽しめちゃうところが最高でした。結哉の泥酔襲い受けのシーンは、実際にじっくり読んでください。
続編では、両思いになったものの結哉がシャイなものだから、その先になかなか進めなくて悶々としていた和久井さんに“無人島旅行”招待の朗報が!もっと弾けてしまうのかと思いきや、おままごとのようなやり取りが続き・・・やっと行き着いた『洞窟』。これでやっと、お互い素直にこれからの性生活が送れるようになるんでしょうね。
騎一先輩はゲイに目覚めなくていいから、裏設定「日野(和久井の同僚・無人島ツアー会社設立のため退職)の凸凹3P話」を是非読ませて欲しいです。

王子と小鳥 (花音コミックス Cita Citaシリーズ)

王子と小鳥 (花音コミックス Cita Citaシリーズ)

  • 王子と小鳥

★★★★☆
ワケアリで砂漠の王国へ売られてきた日本人奴隷・鈴木青年と第2王子・ハーリドのお話。設定自体ファンタジーではありますが、過酷でありながらも適当な生き方をしてきた貧乏美大生・鈴木が、借金の形に売られた先で、王子という立場にあり人柄も良く才能もありながら、第2王子であるがゆえに第1王子に逆らうことが許されないハーリドの寂しさや優しさに触れ、成長していく話でもあると思います。
言葉が通じない二人の間に、少しずつ愛が芽生え、たどたどしく気持ちを伝え合う・・・ジーンと来ずにはいられません。そして、これは、この先があるハッピーエンドと取るべきか、離れ離れの悲恋と取るべきか・・・描き下ろしの続くのでした。
すっとぼけたような表現の中に、温かい気持ちが流れる山中さんの作風は大好きです。
同時収録は“カラダで弁償”するお話ですが、表題作と同様『お金や立場は十分でも、心は寂しい』男を包み込む少年のお話といっていいと思います。
あとがきで判明。王子は年下攻でした!(この王子にもっともらしい髭が欲しいと思った私は贅沢ですか?アラブものには髭が必要じゃないかと思うんですが、大抵の作品にないですよね。ハーリドさんは、髭も似合うと思うのですが。)

大江戸オトコ花嵐 (キャラコミックス)

大江戸オトコ花嵐 (キャラコミックス)

★★★☆☆
純粋な江戸もの。時代物が好きな私としては、どんな内容か楽しみにしていました。
帯にあるとおり、「兄を探してお家再興…のはずが、男色家ばかりの長屋で貞操の危機!?」なのですが、もう全くその通りで、それ以上言うことがない感じ。シリアスな場面もあるものの、徹底的なシリアスにもなりきれず、コメディと言うには笑いが不足気味。主人公・卯一の恋の相手・幾久也は魅力溢れる存在ですが、それぞれがそれぞれに惹かれることになった根拠がいまひとつアマいので、なかなか一緒に萌えられない。さらに言えば、着物の雰囲気はまだいいとしても、髪型がいまひとつ・・・髷を結うならきっちりお願いしたいところです。
これだけ文句を言っておいて、★が3つになったのは、全体としてはつまらないわけじゃなかったからです。兄探しと男色長屋を楽しむことはできたわけです。
で、必殺好きの津賀さんにお願い。いっそのこと、そっち方面を漫画化してはいかがでしょうか?今回は水戸黄門的な展開で、ファンタジーはできるだけ少ない方がいいんじゃないかと思ったのですが、必殺系だったら、多少ファンタジーが入っても無問題ですからね。