- 作者: 秀香穂里,稲荷家房之介
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2006/08
- メディア: 新書
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- 陵辱と純情にゆれる獣
★★★★☆
あとがきにあるように、あれもこれも盛り沢山でおなかいっぱいになれました。最初の、直井が麝香程度の香りでヘロヘロになり、用意周到な逢澤にいただかれてしまうシーンを、もうちょっと説得力のある展開にしていただければ申し分なかったんですが・・・他があれこれ細かく伏線を張り、うんうんって納得できる設定なのに、あのシーンだけがやけに突発的で獣でただの強姦になっちゃっている感じが否めないので。
他はオールOK。プライドが高く上昇志向を自ら認めている直井が、逢澤の才能に嫉妬し歯噛みしている状態から、徐々に自分のできることをやろうと前向きになっていく様が、彼の強姦→ほだされ愛(だって、力のある者に守られたい、組み敷かれたい、支配されたいっていうMなんだからしかたないでしょ)といっしょに育っていくのが読み取れてよかったです。
逢澤は外見に反し、過去のトラウマに臆病になっている引きこもりの犬だったわけで、あのSな態度は元々の素質なんでしょうかって思っちゃうわけですが、アメリカで何があったんだ?
すっかり悪役の伊里くん、意外とおいしい吉田くんと脇役も活躍し、深みが出ました。