久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

迷い恋 (ガッシュ文庫)

迷い恋 (ガッシュ文庫)

  • 迷い恋

★★★★☆
既刊「逃亡者」のスピンオフといってもいいのでしょうか?こちらの主人公、大手銀行の支店長を棒に振り、息子と同年代の若い恋人・祐二と逃避行する50過ぎの男・関晃一は、逃亡者の主人公・関朋彦の父親です。
大きな街に行けば新しい人生が開けると思い田舎から出てきた祐二は、4年以上経っても思うような仕事にもつけず、初めは優しかった恋人も今はDV男で、自分名義のアパートにも帰れない日があるような生活を送っています。ある日、空腹の祐二が書道展のギャラリーで、ふるまいをむさぼっていたところに声をかけてきたのが晃一です。祐二は、恐る恐る食事に付き合い、時々顔を合わせ、身の上話をしあううちに、年の離れた友人という立場になっていくのですが・・・
おおよそ不倫などしそうもないような、真面目人間の晃一だからこそ己の人生に行き詰まり、祐二という存在に救いを求め、体を慰めあう恋人はいても心を開ける友人はおらず、常に孤独だった祐二は初めて出来た友達に安らぎを求めるのです。片方は妻子持ち、片方にも恋人がいて、二人が取った行動は“駆け落ち”でした。
心の中の隙間を埋めあえる存在としてお互いが求め合い、純粋な愛情で結ばれていく。他への迷惑を考えなければ純愛を貫く物語だし、お互いを優しさで包みあう二人に、ぜひ幸せになって欲しいと思えるお話です。ただ、祐二がそれ以上堕ちずに済んでいたのは皮肉にも元カレ・健介のおかげだし、財産を全て妻子に残してはきても、家庭崩壊のもとを作ったのは晃一なのです。最終的に健介を振り切り、「逃亡者」にも出てきたシーン・晃一と朋彦の再会もあり、和解するわけですが、彼らの悲しみの上に二人の幸せは築かれているということを忘れてはいけないよって思いました。願わくば、弱くて寂しがりの健介さんが更生してくれますように。
ちなみに、繁華街のはずれの雑居ビルの3階で開業している医者が「夜間診療所」の上嶋かと思ったのですが、佐々木さんだそうです。そうですよね、上嶋は難民支援の医療チーム出身ではないし、診療所の場所も2階でした。

FLESH & BLOOD 16 (キャラ文庫)

FLESH & BLOOD 16 (キャラ文庫)

  • FLESH & BLOOD 16

★★★★☆
ラウルとヤン、海斗と和哉、ジェフリーとナイジェル、それぞれの場所での展開が描かれています。
海斗やジェフリーとまるっきり違う次元で行動しているラウルとヤンですが、少しずつヤンの背景がはっきりしてきたので、一番気になるのは、この後ラウルとヤンがどんな事件を巻き起こすのかというところです。
一方海斗は順調に回復しているものの、ジェフリーのことが気になって仕方がないので、和哉のサポートを得て現代で彼の足跡をたどろうとします。必死な海斗を過保護なくらいに支える和哉の、片思いとも言える気持ちがこのあとマイナスに働かないで欲しいと願うばかりです。とにかく和哉は、今のとこる全く悪いことをしていないのに、どうも貧乏くじを引いてばかりいるような気がしてなりません。かといって、和哉の気持ちを大事にすれば海斗とジェフリーがハッピーエンドになれないし・・・ほんと、どこがどうなっていくのか未だに予測がつきませんよね。
ジェフリーは拷問に耐え、生き延びてはいるものの瀕死であるのは変わりません。ナイジェルやキットの努力で道は開けたように見えるのですが・・・
しかし、海斗の時もそうでしたが、獄吏・レイヴンは不思議な存在です。拷問は非情なのに、根本は面倒見がよく優しく冷静で、とってもいい人に見えちゃう。特に、悪役(?)ウォルシンガムが偉い人なのに悉く悪いイメージなので、レイヴンの評価がなおさら上がっちゃいますよ。
早く続きを読ませてね。