- 作者: 水原とほる,新藤まゆり
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: 文庫
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- 夜間診療所
★★★★☆
大学病院をドロップアウトし、都心の繁華街のはずれで夜間診療所を開いている医師・上嶋とジャーナリスト志望の苦学生・敬のお話です。はじめは医者と患者の関係だったのですが、敬が足しげく診療所に顔を出すようになり二人の関係は年の離れた友人のようになり、さらに恋人へと変わっていきます。真面目で正義感溢れ純粋な敬は、どんどん上嶋になつき自分の手の内を見せ、35歳の上嶋も「初恋」だと言うほどに、切なく求め合うようになるのですが・・・ただそれが、スムーズに運ばないのがこのお話のおもしろいところで、まずは二人とも秘密を抱えていること、上嶋の元カレ・敦彦を切り離しては上嶋自身が生きていけないこと、敬が事件に巻き込まれることなど、あれやこれやと問題が山積なのです。多くは先が読める展開ではありますが、診療所での上嶋の仕事や敬が関係しているジャーナリズムの世界、繁華街の裏事情や大病院の問題など、真面目に“問題提起”されているような場面があると思えば、敦彦や敬との結構奔放なエッチシーンもふんだんにあり、楽しく読めました。主人公の二人+敦彦以外にも、医療器材メーカー営業の杉浦くんや年増のオカマ・ナオミさんたちもいいキャラ出してくれています。
で、敬×上嶋はめでたしめでたしで結構なのですが、なんだか敦彦がかわいそうになっちゃって・・・ちょっとずれてはいるけれど、とにかく上嶋が好きで仕方がない人なので、なんだかだた振られて上嶋のお財布的な存在に甘んじさせるのはもったいない気がするのです。それから、上嶋が大学病院を辞めた理由が、私にとってはインパクトが薄かった・・・「敬に秘密にしておきたかったことがその程度のことだったの?」って思っちゃったのです。これって私がモラルに反しているのでしょうか?