久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

捨てていってくれ (ガッシュ文庫)

捨てていってくれ (ガッシュ文庫)

  • 捨てていってくれ

★★★★☆
先月読んだ「犬と小説家と妄想癖」のスピンオフ作品です。ちょっとだけ小説家の“不破”という単語は登場しますが、主人公は編集長の沖屋なので、基本前作とは関係ありません。
というわけで、エロ小説雑誌の編集長・沖屋と、アルバイト学生・隆之のお話です。廃刊寸前だった雑誌の編集長に20代でなり、見事立ち直らせたというやり手の沖屋には、ワケアリの過去が・・・その沖屋にほぼ一目ぼれの隆之は、ある台風の晩、体の関係から迫ったのですが・・・美人で頭がよく、仕事ができて、尊敬に値する上司に惚れてしまっては、悶々とすることも多いのは仕方がないと思いますが、例に漏れず隆之も、体は許してくれても心が伴っていないような沖屋の態度にやきもき。おまけに就職活動がらみで、あらぬ誤解を招いてしまいます。恋愛経験が浅く、上手く立ち回れない隆之が、恋をすることに用心深くなっている沖屋の心の壁を破るまでのお話でした。
第二話は隆之が大手の出版社に就職した後のお話。いわば、沖屋の過去に終止符を打つお話です。沖屋の元カレの経営するオーベルジュに、女性作家と沖屋とともに仕事がらみで泊まることになり・・・なぜだか、このお話のクライマックス、山小屋のシーンばっかりしっかりと記憶に残っていました。なぜなんでしょう?前作も含め他の部分はほとんど忘れてしまっていたのに・・・

交渉人は嵌められる (SHYノベルス)

交渉人は嵌められる (SHYノベルス)

  • 交渉人は嵌められる

★★★★★
おまけで★5つ。本来ならば続き物は完結するまで満点はつけない主義なのですが、今回は「交渉人は諦めない」と同時発売で、お話の最後まで読めたのでこのような評価にいたしました。“おまけ”の理由は、USBにこだわりすぎるほどこだわる芽吹さんの気持ちがちょっと理解できなかったのと、笑えばいいのか泣けばいいのか感動すればいいのか、てんこ盛り過ぎたからです・・・
今回は、交渉人の芽吹さんが関わった詐欺師絡みの事件と、彼のトラウマとなっている過去の事件が絡み合い、さらに兵頭と鵜沢のやくざたちも巻き込まれて、いつにないすったもんだになっています。相関図を書きたくなるほどあちらとこちらが繋がっていたりして複雑なのですが、その割りに善悪がハッキリしているためかこんがらがることも無く、大変読みやすかったです。
さて、お話の内容ですが、主軸は芽吹が信じてやれなかったせいで、親友・若林を自殺に追い込んでしまったという過去の事件に関係する物証が出てきたことと、そこに関わっていたとおぼしき詐欺師・環の登場です。騙す人、騙される人ってどんなバランスなの?的なやりとりもあちこちに。芽吹と環の頭脳戦が展開されるわけですが、芽吹が過去をめちゃくちゃ引きずっているので、いつものようなコメディになりそうでなかなかならない展開です。挙句の果てに、冒頭から「意外にラブラブですよ」といった感じの兵頭と芽吹だったのに、環に振り回されて別れの危機に陥ってしまう始末です。
唯一救われるのが、脇役の皆さんの存在で、キヨを始めとして、智紀、さゆりさん、元詐欺師の志津といったネゴオフィスの面々や、大変頼りになる七五三野弁護士の登場場面です。みんなが芽吹の力になろうと一生懸命になってくれるのです。で、ちょっと笑いも誘ってくれるし。若林や環の件で沈みがちの気分を浮上させてくれます。
いつもなら、ゴーイングマイウエイで芽吹を振り回す兵頭が、鳴りを潜めているのも不気味なまま、お話はつづくのです。

交渉人は諦めない (SHYノベルス)

交渉人は諦めない (SHYノベルス)

  • 交渉人は諦めない

★★★★★
2種類のUSBを巡って、芽吹ネゴオフィスチームと周防組、鵜沢組、詐欺師・環が入り乱れております。特に、芽吹と環の頭脳戦はさらにヒートアップ。しかし、一々環に一枚上を行かれる始末で・・・
弱いところ、痛いところ、辛いところをグサグサと突いて、相手をやり込めてくる環と、激昂せずやんわりと外堀から埋めていく芽吹。人を信じ、自分を信じるということはどういうことなのか。前巻「〜嵌められる」のテーマが“騙す”だったら、今巻は“信じる”でしょう。
結局どちらが一枚上手なのか、最後の最後までハラハラさせてくれました。で、今回も前巻から散りばめられていた伏線が、徹底的に拾われて、「うわー、こんなことまで伏線だったんだ」と感心した次第です。
で、二巻にわたって兵頭不足だった芽吹さん。最後は思いもよらないほど積極的でエロいお姿を見せてくれます。でも、とってもキュンとくるシーンでした。だって、読者であるわたしだって、二人のラブ不足だったもの。
それから、「トモコレ」やりたくなっちゃった。
で、次に出版される予定のチワワとシベリアンハスキーのお話が、今から楽しみです。