久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

いとし、いとしという心〈2〉 (ビーボーイノベルズ)

いとし、いとしという心〈2〉 (ビーボーイノベルズ)

  • いとし、いとしという心 2

★★★★☆
京都の老舗旅館「井筒屋」の次男・井筒千秋と隣の紙司「兎月」の一人息子・観月侑央のシリーズ2作目。
【ユキウサギ】
侑央と千秋の高校生時代のお話。お隣同士で一つ違いの二人は、兄弟のように育ってきましたが、侑央は千秋の兄・荘一に片想いをしており、千秋はそれを承知で侑央を思っています。荘一は外見も性格も申し分のないくらいできた男ですが、意外に無神経なところも多いのです。年の離れた弟たちのことを可愛がってはいるものの、侑央の気持ちに気付くわけもなく、侑央はせつない思いを募らせるばかり。千秋はといえば、外堀から埋めていく作戦で、兄によく似た声を利用して侑央をからめとってしまおうと、なかなか姑息な方法で侑央に嫌と言わせることなくからだの関係に持ち込むのです。
小さなころから侑央のことだけを思ってきた千秋の気持ちは、高校生になってさらに独占欲を増してきます。お話のそこここに、千秋の熱い思いが書かれていますが、侑央に接する時はその熱さを押さえ込み、優しく誠実であるように振舞います。侑央以外はどうでもよく、代わりに似た人を抱くというのは、あまり許せないのですが、ほかは何もいらないから侑央だけが欲しいという気持ちは病的にも思えるのに、何故だか味方したくなるせつなさを持っています。
反面、侑央はそだちのせいか、おっとりと甘い感じの少年ですが、純情そうな外見の内に熱い欲望を潜めていて時々その部分がせつなさを滲ませながら表面に出てくるときに、強烈な色気を発します。下手をすると、甘え上手で嫌なタイプになりそうなのですが、後ろ暗さを引きずっているおかげで、嫌な奴にならずに済んだのかなとも思います。
結末は一作目でわかっているので、非常に中途半端な気分でスパンと切り取られてしまったような別れ方でしたが、実際、行き詰った挙句に逃げるというシチュエーションだったら、こうなるしかないんでしょうね。
【啼かぬ蛍が・・・】
こちらは1作目の後のお話。「兎月」新店舗の侑央の部屋と、長唄のお稽古と、千秋の結婚話、千秋の防音設備完備の部屋・・・未だ戸惑いつつ、千秋との関係を続けていた侑央が、はっきりと千秋への気持ちを自覚して、将来を約束させるまでのお話です。途中千秋が口ずさむ都々逸が、いい感じでこのお話の世界観を表していると思いました。
千秋はやっぱりベタ甘だけど、ずるくて腹黒なのですが、侑央が世界の中心なので、将来を約束させられた時の表情で、本当の性格がはっきりわかっちゃいましたね。
侑央は振り回されていそうに見えて、結構千秋を振り回しているんじゃないかなって・・・なんだか、自分の使い方を良く知っている気がするんですよね。もう、お尻に敷く系ですよ。
あとがきでかわいさんが、「陰険腹黒なヤンデレ男」と「清純派、やや天然毒婦気味」と二人のことを解説しています。まったくそのとおりですね。

ハイファイライフ (Dariaコミックス)

ハイファイライフ (Dariaコミックス)

  • ハイファイライフ

★★★★☆
表題作は同窓会で再会した二人のお話。今の生活にノイズを感じ、生き辛い思いをしていた二人が、ノイズを感じないハイファイな関係になれるベストパートナーだったっていうお話です。自分に正直になったり、お互いを認め合ったり、価値観が似ていたり、パートナーには大切なことだとつくづく思います。悪く言えば傷の舐め合いかもしれないけれど、こういうお話とっても好きです。しかし、小林くん確信犯でしょ。うまい具合に恩田くんのところに潜り込んだよねぇって思いました。
【猫の気持ち】は優等生×劣等性。十分甘やかされているのに、まだ甘えたいのか、花村くんよ。
【特別なんだ】は幼馴染み逆転系+柔道着+女装。女装は両方がしちゃうという離れ業!
【となりの恋人】恋人未満の二人の間に、中学生のライバル登場。「真剣に考える」ってことを考えさせてくれるお話です。これも好きなタイプのお話でした。キスしかないけどそれで十分。
他2作。