久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

臆病な花嫁 (ショコラコミックス)

臆病な花嫁 (ショコラコミックス)

  • 臆病な花嫁

★★★★☆
短編集。表題作がなかなか良かったです。私としては、男なのに花嫁?って納得いかないので花嫁ものといわれる作品を積極的に読むことはしないのですが、これはうまい具合に結婚のエピソードが絡めてあり、だから花嫁っていう言葉が出てくるわけねと納得できました。ヘタレのように見えるけれど、芯はぶれずにひたすら受けちゃんを愛している攻め。長年放っておかれた不信感でつれない態度はとるものの、やっぱり相手が好きな受けちゃん。その受けちゃんのかわいい嫉妬。続編と描き下ろしもあわせて、二人のラブラブで幸せな気分になれたなと思いました。何がいいって芳信(攻)が受けちゃんを「知ちゃん」って呼ぶところが大好きです。
他に医者もの1本、ヤクザ絡みもの3本入っています。中でも「夜明け前の道を往く」がよかったです。元ヤクザ(警察の情報屋でもあった)と刑事のお話。服役が明けて、再会して…ノラ猫のエピソードとあわせて静かに進むお話でした。更生した人のお話って好きです。

わが愛しのドクター (キャラコミックス)

わが愛しのドクター (キャラコミックス)

  • わが愛しのドクター

★★★★☆
ドクターといっても医者ではなく博士の方でございます。天才だけれど生活能力が無い科学者・七原とその有能な助手・一ノ瀬、科学者仲間のアーヴィング、5年前に亡くなり今は七原の手によって人工知能として存在しているクラウスのお話。
七原とアーヴィングの開発で、どんどん人間らしい姿になっていく“クラウス”に嫉妬しつつ、研究と七原の世話に明け暮れている一ノ瀬が、そのクラウスやアーヴィングのささやかな協力により七原の心をゲットするまでのお話です。もどかしいどころではないくらいの七原の恋愛音痴には脱帽ですが、それだけ子供っぽくて可愛い存在です。専門バカというやつです。その分一ノ瀬がおじさんたちにいじられてちょこちょこと嫉妬し、ちょっとタイムスリップしてみたり、なぜかクラウスのデートに協力したりと八面六臂の活躍です。全体的に熱くなるようなタイプのキャラクターがいないので、大きな盛り上がりがあるわけではないのですが、ふんわりとかほんわかとか柔らかい気分で気持ちよく読めます。こんな二人なのでチュウ止まりくらいがちょうどいいし。人工知能に気を使われているくらいだし・・・最初に書いたように、アーヴィングとクラウスがいないとお話そのものが成り立たないくらい重要な存在のおじさん二人でした。だから七原もおじさんのはずなんですが・・・かわいい。

蜂蜜の味 (マーブルコミックス)

蜂蜜の味 (マーブルコミックス)

  • 蜂蜜の味

★★★★☆
マーブルコミックスで絵柄が好みで、まだ読んだことがなかったので購入しました。全部読み終わって思ったこと。「BLというよりゲイのお話だよね。」私自身男性ではないので、本物のゲイの気持ちはわかりようも無いのですが、ゲイだからこその葛藤のようなものが作品の端々に感じ取られるので、それぞれのお話にそれなりの重みを感じたのです。
「チョコラート」:化学教師×高校2年生の甘くて内緒のラブラブ話。
甘い生活」:同棲7年目の痴話げんかから仲直りまでのお話。ドタバタ家族もの。
ミルフィーユ オ フレーズ」:バイト先の店長(52才、バツイチ、26歳の息子あり)×高校生の、どっちかといえば高校生の方が積極的だけど・・・というお話。
「蜂蜜の味」:自分の性癖を自覚しながら足掻いているので、彼女と本当に好きな男の間でふらついているゲイのお話。
「甘味の配合」:才能ある恋人と自分を比べてしまい、仕事に自分の価値を見つけようとして心をすり減らす男とそれを包み込む恋人のお話。
「Sugar Less」:自分に正直に生きると・・・って言うお話。
中でも印象的だったのが「甘い生活」。ほとんどが彼のところから家出してお姉さんのところに居候している状況なので、それほど二人のラブラブなところが直接伺えるわけではないのですが、いかに恋人から愛されていたか、どれだけ自分が彼を必要としているかなどを考えさせてくれるいいお話でした。
ミルフィーユ〜」は親子より離れている年の差カップルで、描き下ろしですらキス止まりですがそこがいい。おじさんは真面目だし少年はひたむきだし、好感が持てました。
「Sugar Less」:高校生同士で、身体の相性のお話はどうかと思うのですが、セックス関係で正直に生きられたら気持ちいいんでしょうねぇ。(まるで旦那と合わないみたいですが、そんなことはありませんから・・・)
めくって楽しい“いやん”カバー下マンガもかわいくて面白いです。

氷面鏡 (キャラ文庫)

氷面鏡 (キャラ文庫)

  • 氷面鏡

親の愛に恵まれなかった双子の高校生と、男の恋人と別れたばかりの大学講師・見城のお話。
事情があって離れて暮らし、大きくなってから家族になった双子の陸と郁。父親は無く母親は多忙という、子供にとっては寂しい家庭環境の中、半身として惹かれあい身体をつなげるようになっています。しかし、弟の郁はこの禁忌の関係に疑問を抱くようになり、陸と距離を置こうとして公園のベンチで一人物思いにふけるようになっていたのですが・・・ある出来事から郁と見城が出会い、彼の部屋を時間を潰すための温かい場所として提供してくれます。
陸のことを愛しているけれど、それは恋人としてではなくて、兄弟として愛していることをわかってもらう手立ても無いものだから、激昂した陸の言うがままになってしまう郁。話したくなければ話す必要は無いと、郁の事情も聞かずに優しくしてくれる見城。郁の変化を感じ取り、行動がより独りよがりで激しくなり、どう考えてもDVでしょうという状況にまで追い込まれていく陸。
陸との関係にどんどん疲弊していく郁は大変痛々しく、どうしてそんなにあなた一人が背負い込まなくてはいけないの?と言いたくなるくらいなのですが、幸い見城というシェルターができたことにより、そこでは少年らしい姿も見せてくれます。いくつかのエピソードでその幸せな関係も揺れ動いたりするのですが、さすが35歳の先生ともなると洞察力と包容力、行動力が違います。見城という存在に一切悪い部分が無いので、時には胡散臭い感じも受けるのですが、それでも一貫して人のいいヘタレ気味なおじさんでした。最終的に傷ついた郁を抱いた時、ここまで立派な大人だったひとがここで抱いちゃいけないんじゃないかと、なんでわざわざエッチしなくちゃいけないんだと思っちゃったのですが、ひいき目で見てみれば、見城も普通の男で我慢も限界だったんだよねっていうことなのかもしれません。
それにしても彼らの母親はのんきですこと。