久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

COLD SLEEP (新装版) (ビーボーイノベルズ)

COLD SLEEP (新装版) (ビーボーイノベルズ)

  • COLD SLEEP(新装版)

本誌に掲載された分をオンタイムで読み、ビブロス版のノベルスを読み(この場合、3作目が出た頃にお話を半分忘れていて、再度読み返したりしました。)今回加筆・書き下ろしありとのことでまた読みました。
先を知っている分、初回に比べてインパクトは薄れてしまいましたが、いいものはやっぱり良かったです。

事故による記憶喪失で不安のどん底にいる透が、いまのところ正体不明の藤島との生活で「好き」を芽生えさせるまでがこの巻です。それにしても藤島は寡黙すぎますね。透が話しまくっていても返事は大変短いですよね。一番長くしゃべっているのが被害者の姉とですもんね。だからこそ、ケーキを食べた時の表情が生きてくるんだとは思いますが。先を知っている身としては、謎だらけで大変中途半端だけれど、ここで話が終わった方が精神的に楽かもしれないなぁと思ってしまいます。不安要素は抱えながらも、とりあえず二人は気持ちを伝え合えたのでね。

同時収録のリンク(そのうちリンクしているのがわかる)作品の黒川(根暗でヘタレな県庁職員)×谷口(自称写真家)カップルのお話は今のところ完全独立状態ですが、まるっきり別な作品として読んでみても「せつなくてせつなくてせつない」けどホッとする良作だと思います。箱入り息子で内向的でいじめられていた少年が、ヘタレたまま大人になってしまいましたが、高校の頃から好きだった相手に「一生分の勇気を使い果たし、酔いの力を借りて、十一年分の思いを吐き出した」ら人生に風穴が開いちゃったお話です。
例えば今、実際にいじめられている人がいたとしたら、これを読んでもらいたいと思います。皆が皆いじめようとしているのではなく、あなたのことを気にかけてくれている人もいるかもしれない(たとえ偽善的でもいいのです)、あなたが自分から小さい一歩を踏み出せば、そこが突破口になるかもしれない。そんな勇気をもらえる話だと思いました。
「君に嫌われたくない」
「…お前が俺に誠実だったら、嫌ったりなんかしないよ」
あー、素直になりたい。優しくなりたい。・・・・・泣けました。
実は私も結構仲間はずれとかにされたことがあったので、黒川の気持ちがとってもよく分かるんです。
中学の時に開かれた小学校の同窓会に参加しなかったら、小学校も中学も同じクラスになった幼馴染の子から「どうして来なかったの?楽しかったよ」といわれ、あー、みんな私を仲間はずれにしていたことなんか忘れちゃってるんだ、それなら過去を引きずって暗い思いをしていたら自分だけ損だなと、考え方を改めるきっかけになりました。
ポジティブシンキングで立ち上がらないと損ですよ。