久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

愛想尽かし (ミリオンコミックス Hertz Series 91)

愛想尽かし (ミリオンコミックス Hertz Series 91)

  • 愛想尽かし

★★★★☆
「たかが恋だろ」のスピンオフ作品で、今回は小説「花片雪」(英田サキ著)とのコラボ作でもあります。時間軸はこちらが先なので、読む順番を間違えてはいけません。
「たかが〜」を読んだときから椹木さんのお話が読みたいと思っていたので、“待ってました!”でございます。“義兄受”を希望していた私ですが、そうは問屋が卸しませんでした。このお話の主人公は椹木さんではなく、柊也というチンピラだからです。彼はどう考えても攻の気質は持っていないので、柊也を中心にお話を展開するとしたら、椹木さんは彼を温かく包み込む大人の男でなければいけないのです。
神様に「一度でいいから 俺にも甘い水を のませてくれよ」と頼んでしまうくらい苦い思いばかりしてきた柊也は、刑務所で同室だった椹木と再会します。半ば押しかけ的に椹木の部屋に居候することになった柊也と子猫のチビ。椹木の義弟・泉巳に嫉妬したり、できない家事を頑張ってみたり、真面目に働きだしたりしたのですが・・・椹木の頑なな心が少しだけ緩んできて、あと一歩というところだったのに、再び二人は離れ離れになってしまうのです。んー、簡単にはハッピーエンドになってくれません。
でも、そうですよね、ただ椹木に庇護されぬくぬくと幸せをかみしめているだけでは、柊也は成長できなかったでしょうね。ひと騒動あって、椹木は自分の気持ちに素直になれ、柊也は一つ大人になって、めでたしめでたし。
椹木の反応に一喜一憂する柊也の“動”と常に淡々としていて本当の気持ちをなかなか表わせない椹木の“静”のバランスが心地よい展開でした。

花片雪 (SHYノベルス)

花片雪 (SHYノベルス)

  • 花片雪

★★★★☆
↑の「愛想尽かし」の二人のその後のお話です。
椹木と思いが通じ合い幸せな生活を送っていた柊也でしたが、ある日椹木の態度にキレた彼は、家を飛び出し殺人事件に巻き込まれるのです。
どうしても考え方が浅はかな柊也は、思うところがあって椹木がそういう態度をとっているのだとか、今こんなことをしたらまずいことになるかもしれないとか思いつきもせず行動に移してしまいます。で、彼の尻拭いをして回るのが椹木の役目となるわけですが、事が殺人事件なだけにピンポイントだけ解決すればいいわけではなく・・・
「愛想尽かし」と被る場面も含め、彼らの過去が細かく語られていきます。「一度だけの優しさでいい」と刹那的な気持ちでいた柊也が「もっと生きたい。もっと一生懸命にいきたい。誰かに幸せにしてもらうことばかり願うのではなく、自分が誰かを幸せにしたい。」と思えるようになるまでのお話でもあります。
表紙のイラストが哀愁を帯びているので、ちょっとバッドエンドを思い描いてしまったのですが、そんなことは全く無く、なんだかんだであまあまな二人でした。