久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

普通ぐらいに愛してる (ディアプラス文庫)

普通ぐらいに愛してる (ディアプラス文庫)

  • 普通ぐらいに愛してる

★★★★☆
高校時代の同級生の再会ラブです。それも、片方(攻・北條)はずーっと好きだ・可愛いといい続け、片方(受・南)は相手のことが大嫌いだったという過去つきです。いやだいやだも好きのうちと言いますが、ふと気付いたときにはすっかりほだされちゃっていると言う・・・ある意味王道な展開なのですが、北條がやたらまったりとした関西弁をしゃべり、のらりくらりとかわすのと、南がそれにイラつき突っ込むというスパイスがあるので、なかなかおもしろかったです。ただ、北條の事情が最後の方になるまでハッキリしないので、南といっしょにイライラしてしまいそうになりました。実は、最後の最後で登場した北條の祖父がいなかったら、★3つになっていたかもしれません。じいちゃん登場のひとコマがあったからこそ面白くなった作品だと思います。
2話めの「誰より何より愛してる」は思いが通じ合った二人のその後になるわけですが、体で愛し合いたいと重いながらも、相手を思いやりすぎてギクシャクしてしまう二人が、もどかしいけれど可愛かったです。しかし、あいかわらず北條って不思議な存在で、一貫して優しいんだけれどとらえどころがないから相手を不安にさせてしまうといった、独特の性格はそのままでした。
で、「君だけを愛してる」に至っては、北條の独壇場です。本編はほぼ南目線でお話がすすんでいたので、北條の輪郭がボヤケ気味でしたが、書き下ろしになってやっと本性が明らかになりました。ヘンタイ、嘘つき、卑怯者、絶倫、バカ、アホ、ボケな北條でした。

決別の塔 (ダリア文庫)

決別の塔 (ダリア文庫)

  • 決別の塔

★★★★☆
大好きな医療ものです。不本意な手術ミスが原因で、大学の研究室から山間の診療所に飛ばされてきた外科医・白鷺と、診療所の院長・黒河のお話です。
最新技術の研究開発と僻地医療という、同じ医師でも全く正反対な仕事をしてきた二人が、同じ仕事場で働くことになるのです。何でも自分達でやらなくてはいけない山村での生活と、研究がメインだったため、救急医療はおろか、患者を診ることそのものに慣れていない白鷺を、上手い具合に導く黒河に、白鷺はいつしか心惹かれるようになるのです。
いつか戻れると思っていた研究室との決別と、黒河とのこれからの人生。当初、頼りないイメージだった白鷺が、少しずつ自分を持ち、逞しくなっていくのが嬉しかったです。
しかし、このお話だけでは、黒河の謎は解かれないままで終わってしまったし、山村の診療所だからこそ起こるであろうトラブルや事件は、まだまだほんの序の口程度のエピソードだけだったので、以下続刊していただいて、その欲求不満をかいしょうしていただければと思います。