久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

なぜ彼らは恋をしたか (キャラ文庫 し 2-19)

なぜ彼らは恋をしたか (キャラ文庫 し 2-19)

  • なぜ彼らは恋をしたか

★★★★☆
実は途中までは★3つかなと思いながら読んでいました。なぜなら主人公の一人・緒方があまりにも鼻持ちならない嫌な奴に見えたからです。自分の才能に自信を持ち、ポリシーに芯が通っているのはいいことですが、柔軟性があまりに不足しているなぁと思ったからです。しかし、その割には堂島の誘いにしぶしぶながらも乗るし・・・あれ、ちょっと改心しようと思ったのかな?と思えば、派手なしっぺ返しを喰らわせるし。こういうのはツンデレじゃなくてなんと言えばいいのでしょうか?
しかし、堂島の設計図を見てからの緒方は、それまでのかたくなさが嘘のように揺れ動きだします。冷たい態度は継続しているものの、硬い壁は無くなり受け入れ認められる人に変わってくるのです。仕事の面でもプライベートでもほんの少し負けを認め、素直になることで歯車が上手く回転しだすのです。
同性に恋する気持ちであったり、今までに無い敗北感であったり、素直に認めるには抵抗が大きい出来事に反発するのではなく受け入れて見れば、こんなにスムーズに事は運ぶのねという感想を持ったお話でした。
堂島が非の打ち所の無いいい男なので、もう少し“難”な部分も欲しかった気もしますが、ビル設計というまた新しいお仕事に出会うことができたし、結構でした。

ろくでなし (ビーボーイノベルズ)

ろくでなし (ビーボーイノベルズ)

  • ろくでなし

★★★★☆
ちょうど1年前に刊行された「あばずれ」のスピンオフ作品です。あちらは惣流家の長男のお話でしたが、こちらは「うそつき」が次男「ろくでなし」が父親のお話になっています。
「あばずれ」の感想で最後の方に『始めのうちに退場なさってしまったヘタレの志垣獣医のその後と、最後の方で突然現れた一郎パパが拾ってきた習字男のことが大変気になります』と書いたのですが、まんま、彼らのお話が補完されている状態です。
【うそつき】志垣獣医と次男・空の、なんだか初々しい感じのお話です。空と関わる犬猫を絡めた上に、ちょっとした事件まで起きてすったもんだがあるわけですが、とにかく志垣先生がいろいろ考えてしまう分ヘタレ眼鏡になってしまい、反対に土壇場では思わぬ行動力を発揮しちゃうという、一人で二度おいしいお方なので結構楽しめました。キレた真面目人間は怖いですね。
【ろくでなし】オヤジスキーだからではないと思うのですが、このシリーズの中ではこれが一番好きです。一郎パパのいい男っぷりもいいのですが、相沢くんのとっても真面目で人間くさいところが大変好みです。エリート社員なのに字が超絶下手なところとか、女性に興味が持てない性癖に端から諦めちゃっているから童貞のまんまだったり、戸惑いながらも一郎に惹かれていく様だったり、一々ぐるぐると悩みながらも結構前向きに進んでいく彼の行動に、とっても好感が持てたのです。あとは、惣流家の皆様と仲良くやっていってくださいね、でございます。