久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

嫉妬は黄薔薇に託して (ビーボーイノベルズ)

嫉妬は黄薔薇に託して (ビーボーイノベルズ)

★★★★☆
ニューヨークに住む日本人フラワーアーティストの西根と、金髪碧眼で気位が高い社長秘書・ジーンのお話です。前作は何年発行でしたっけ?久しぶりの続編です。どちらかというと摩天楼シリーズ本編のカップルより、こちらの二人のほうが好きなので、続編が読めてうれしかったです。
西根と恋人同士になって一ヶ月、今までにない幸せを感じていたジーンだったのですが・・・このお話は、ジーンの葛藤が主軸になっています。西根に出会う前は、自分の高慢な性格に何の疑問も感じていなかったらしいジーンが、何かにつけ反省をするのです。ただし、基本がツンなので、天邪鬼な展開になってしまってさらに自己嫌悪に陥るわけですが。
西根のほうには押しかけ弟子がやってきて、ジーンは静かに嫉妬心を燃え上がらせて、ジーンのほうにも整体の先生が絡んでくるので、ちょっとハラハラさせられます。ただ、どんな状況になろうとも、ジーンがひたすら西根を求めているので、最終的にはめでたしめでたしなのですが・・・しかし、ディック先生の紳士な対応には驚かされました。据え膳を食わないことができる冷静さ、天晴れでした。
「我が儘で高飛車、他人に辛辣だけど自分には甘く、美貌を鼻にかけてはばからない」と遠野さんも言っているくらい、鼻持ちならない嫌な奴ジーンですが、天邪鬼なだけで、内面は大変繊細なので、己のやったことを反省することしきりです。自分のいけないところを反省できる、大切なところだなと思いました。
お話の主軸はすれ違いなので、大半は悩めるジーンと彼を振り回し振り回される周囲の人々(西根含む)がどう関わってくるかが読みどころだと思います。なので、エッチは冒頭で一回、最後の最後で一回だけですよ。でも、濃厚なので結構満足できます。しっかりツンがデレてくれますからね。
シリーズ通しての主要人物たちもそれなりに登場してくれたので、そこも楽しかったです。こうなると、今度はディック先生か森尾くんのエピソードが読みたくなりますね。