久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

松前先生と美貌の作家 (SHYノベルス)

松前先生と美貌の作家 (SHYノベルス)

  • 松前先生と美貌の作家

★★★★☆
覆面作家の小櫃由布の正体は旧華族の若様・春之で・・・このおぼっちゃんがとにかく鼻持ちならないわけです。美貌にも才能にも、これ以上ないくらいの自信を持っているし、下手に出ることを知らないし、プライドが非常に高いので、直情型だし何かにつけ天邪鬼な発言をしてしまうし・・・そんな春之は常々、松前千種に自分の作品の挿画を描いて欲しいと、焦がれるほどに思っているのですが・・・
どう考えても始めからお互いに惹かれあっている二人の、思わぬところで出会い、行き違い、和解し、誤解しといった、三歩進んで二歩下がるようなもどかしい恋のお話でした。ライバル作家の倉橋や担当諸氏、春之の兄・秋継など、個性的な面々が“気を使う”中、世間知らずで棘だらけの坊ちゃんだった春之が少しずつ丸くなっていく「成長記」でもあると思います。何が面白いって、自分の言動で墓穴を掘ってそれなりに反省はするものの、その問題を解決させたいがために考え悩む春之の、基本が上から目線だと言うところでしょうか?で、その良策と思われたことをことごとくダメ出ししてくるのが松前なのです。相手が若様だろうが有名作家だろうが「ダメなものはダメ」なのです。そこが非常に気持ちいい。
思わぬゲスト・六車くんも登場してくれて(帯には由利先生と才蔵もいます。)イラストの木下けい子さんとコラボしちゃった作品でもあります。