久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

  • 人でなしの恋

★★★★☆
昭和初期(作者談)、一高〜帝大時代の同級生、人外のモノが見える小説家の仁科と医者の花房、そして検事の黒木の、それぞれがそれぞれに抱く庇護欲やプラトニックな恋愛感情と情欲が、今と学生時代を行き来しながら語られます。現在恋人関係にある仁科と花房の目線で語られるので、彼らの微妙に食い違いながらもお互いを必要としている様はよくわかるのですが、何かにつけ引っかかってくる黒木の存在が気になる状況で1話目「逢い引きの夜」は終わってしまいます。実際のところ、仁科と花房ですら、本当に今の関係に満足しているとは思えない心境のまま終わるのです。もし、雑誌掲載時に読んでいたとしたら、悶々としちゃってしょうがなかったでしょうね。
しかし、2話目の「こごり繭」という、幾分ホラーチックなお話が書かれたことにより、仁科がエログロ小説家であり花房が医者であり黒木が検事であったことに必然性が出て、煮え切らないままに終わった黒木との関係もはっきりされ、お話としては2話で一作としてまとまったと思います。
お話のそこここに、“きれい”とか“美しい”という賛辞が出てきますが、この三人の外見しかり、性格しかり、それぞれ違った美しさがあるのです。それをそれぞれが評価しつつ、自分の黒い部分を卑下しているわけです。愛情だったり包容力だったり、可愛い甘えであったりする反面、独占欲であったり、媚であったり、計算ずくであったりと、美しいばっかりではないのです。
レトロモダンでちょっとオカルティックな背景の中、友情とは?愛情とは?を考えさせられるお話でした。

枯れない花 (ミリオンコミックス Hertz Series 76)

枯れない花 (ミリオンコミックス Hertz Series 76)

  • 枯れない花

★★★★☆
野球部の先輩・今井と後輩・引田のせつない恋のお話、完結編です。★5つでもいいかと思ったんですが、もどかしすぎたのでちょっとマイナス。
高校の卒業間近、既に大学の寮に入り練習に合流している今井とは会えない日々が続いていて・・・バレンタインに女子からワイロチョコをもらってしまった引田は、色々考え出してしまいます。自分は今井をどう思っているのか?今井にどうして欲しいのか?自分はどんな存在なのか?どうなりたいのか?・・・煮詰まりそうになると今井がやってきて、なし崩し的に抱き合ってしまうものの、納得のいかない引田は、野球に集中しようとがむしゃらになるのです。
今井のようにカッコよくもなれず、女の子のようにもなれず、ついに野球部引退になり消沈している引田にかけた今井の殺し文句『花はキレイでカワイイだけじゃないぜ?・・・』のシーンで私、突然号泣してしまいました。この後に続くセリフが泣かせてくれました。読んで泣いてくださいませ。
しかし、こんな殺し文句が言える今井ですが、どっちかと言えば今井のほうが引田なしでは生きていけない人なんだと思います。引田はクソ真面目にグルグル悩みますが、今井は開けっ広げに愛情表現するので、今井には悩みがなさそうな感じですが、時々見せる憂い顔で彼の苦悩も垣間見えます。
しかし、今井の背中はセクシーだな。引田はいまだにいたいけな幼児のようですが。

Cab v.6―CATALOGUE & BGM

Cab v.6―CATALOGUE & BGM

  • cab vol.6

★★★★☆
購入時、本を探すのに手間取りました。もっと厚いと思っていたんだもん。そういえば、前巻で完結したお話が結構ありましたね、そのせいで薄くなっちゃったんでしょうか?
【キャッスル・マンゴー take3】やっと3話目です。身を挺して(狂言ですが)、十亀監督から悟を守った?兄の万君(但し、今回は彼の名前は出てきません)ですが・・・意外と真面目な十亀のおかげで、予想外の展開になってしまい・・・つづく・・・いやーーーーーん、蛇の生殺しはやめてくださいよーーーーー、また4ヶ月待たないといけないのーーーーー?
【むすんでひらいて】【鮫島くんと笹原くん】は、作者は違えどお話のパターンは類似点が多数。思っていた人に積極的に出てこられたら、保身に回っちゃって・・・的な展開で。しかし、前者は抑えて抑えての受がメインのシリアスタッチ、後者は意外と純情な攻が振り回されるコメディタッチと、こうも違ったお話になるんだなぁと比べてしまったのでありました。どっちも好きですが。