- 作者: 夜光花,榎本
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: 文庫
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- 愛を乞う
★★★★☆
親の事業が破綻して、身売りされてしまう子供のお話は良くありますが、「息子の便器になれ」とまで言われてしまう子供はそうそういないんではないでしょうか?そんな、とんでもない富豪・綿貫家の息子・一輝と身売りされた子・春也の13歳から24歳までのお話です。
誰がおかしいって、綿貫おやじが一番おかしいのですが、子供を売った金でどうにか死なずに済んだ親も恥知らずで、大人がこれじゃあどうしようもないじゃないという感じなのです。
しかし、当の子供たちは、そのおかしな関係の中、お互いを必要とし守り愛するようになっていきます。ただ、春也は何につけ負い目があるので、綿貫家の保護下にあるうちはただひたすら一輝に従順で、控えめに生きています。一輝に守られて嬉しい、彼も自分のことが好きなのかもしれないと思いながらも、諦めのほうが先にたってしまうのです。一輝の方も、今一つ言葉が足りないので、春也を思っていることを素直に表に出せません。この理由は終盤の方で明かされるのですが。高校を卒業し春也が綿貫家の保護下に置かれなくなったとき、この先どう展開していくのか想像がつかなかったのですが、まさかそこにまた綿貫おやじや春也ママが絡んでくるとは・・・しかしそこは大人になった二人です。親の振り回されること無く、自分たちの道を決めるのでした。
綿貫邸での変態的なセックスシーンもあれば、全寮制の高校で他の学生から想いを打ち明けられたり、一輝の辛い過去を知ったり、自分の気持ちを再確認したり、どうしても繋がりたくなって遠くのラブホに出かけたり・・・ディープだったり純情だったり、様々なラブがてんこ盛りです。あとがきで「少しずつ互いを好きになるお話、段階を踏んだエロが書きたかった」と話されているように、便器騒ぎからはじまるわりには大変純情な空気が漂っておりました。
- 作者: 砂床あい,亜樹良のりかず
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/12/07
- メディア: 文庫
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- 一途な夜
★★★★☆
コンドーム会社の研究員・泰斗はゲイ(さらに未経験)なので、試作品のモニタリングのためにしなくてはならないセックスの相手を、二丁目のバーで探していました。一晩で四回イカせてくれることを条件に・・・そこに現れたのが将吾という、大変好みな外見をした男で、泰斗の希望を叶えてくれるのでした。
このお話の面白いところは、極薄コンドームの商品開発という一種独特な研究バカの世界と重なっているところでしょうか。実際のところ、開発者が試作品をモニタリングするシステムがとられているのなら、コンドーム会社は社員全員が絶倫じゃなくっちゃダメだなぁって思っちゃいましたが、どこまでが本当なんだろう?
で、この主人公二人が絶倫だし、商品のモニタリングは繰り返されるしなので、お互いの素性を隠したまま逢瀬を続けるわけです。そこに商品情報漏洩というスキャンダルが巻き起こったのでさあ大変・・・
将吾の正体も明らかになり、どうなることやらという展開に。しかし、最後までサービス精神旺盛で、将吾の執務室でのオフィスエッチまでやらかしてくれて、めでたしめでたし、おなかいっぱいでした。
お話の展開はご都合主義的な部分も無きにしも非ずでしたが、商品開発というお仕事を堪能できたのと、泰斗が遠慮なくエロかったのと、将吾が終始一貫していい人だったのと、脇キャラもいい味出していたのとで、大変楽しめました。
ちなみに、口絵はとんでもなくエロいので、購入時カバーをつけてもらうのなら、覚悟がいります。
- 作者: 砂床あい,本間アキラ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 文庫
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- 銀盤のシャノワール
★★★★★
昨日、どうしても読んでしまいたかったお話です。どうしても読み終えたいと思うことは滅多に無いので、おまけで★5つ。
フィギュアスケートの師弟の恋のお話なんだろうと思って読み始めたら、そんな単純なものではありませんでした。確かに、過去にオリンピックで優勝した経験のある基コーチと、才能のある少年・涼との辛い恋のお話なのですが、そこに基の死んだ恋人や、涼の家族背景、教えるほどに上達していく涼の才能などが絡まって、ほとんどは基の苦悩のお話になっております。
また、涼のサイドから見てみれば、会ったこともない父親(往年の花形スケーター・瑞木)が越えられない壁となり、才能の開花を阻んだりします。そして、父は恋のライバルでもあって・・・
依存という言葉が端々に出てくるほど、この二人は共依存していますが、かれらの境遇ではそれも仕方のないことじゃないかと思えてしまいます。しかし、その状況を甘んじて受け入れるのではなく、それではいけないといちいち考えるところがこのお話の面白いところだと思います。それぞれが悩み、模索して、一番いい方法を見つけ出すまで、ちょっと時間はかかっちゃったけど、それでよかったんだねと納得できました。なかなか先に進まない(下がってしまうこともある)関係で、基はヘタレと言われてもいいくらい行動に移せませんが、大人として、責任あるコーチとして、踏みとどまる勇気はヘタレとは言わないと思いました。始終エッチばっかりしているのではなく、キスすら踏みとどまってしまう関係にキュンキュンさせて頂きました。
あとがきから、元はもっと広がったお話だったと知りました。しかし、そういったエピソードを削いだからこそ、彼らの苦悩にピンスポットが当たったのだと思います。時々、何故このエピソードを省いたの?って思う作品もありますが、この作品に関してはこれでよかったんじゃないかと思いました。裏設定は裏設定で、例えば番外編とかで楽しめるといいなぁとも思います。
- 作者: 柚木南保
- 出版社/メーカー: 笠倉出版社
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: コミック
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- 愛情仁義
★★★☆☆
やくざの息子真斗と若頭・刃のお話なんですが、とにかく真斗が刃に惚れこんじゃっているし、刃は真斗一筋なので、お話はそれだけだとちっとも面白くなくなっちゃいます。そこで、真斗が苦悩するスパイスが入るのですが、彼の悩み相談の相手“ヤス”がすごい!もう、このお話の主人公はヤスだと言ってもいいんじゃないかと思っちゃうくらい、ヤスがいいキャラしています。ヤスがいなかったら、★はもっと減っていたかもしれません・・・
他、4作品が入っていますが、基本コメディです。んー、可も無く不可も無くっていった感じでした。
- 作者: 遙々アルク
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2009/11/24
- メディア: コミック
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- 極東追憶博物館
★★★★☆
アルクさんの作品はじっくり読むべきだと思っているので、とっくに購入していたんですがゆっくり読める日が来るまで取っておいていました。短編集でしたが、やっぱり良作揃いでした。
【ギャンブラー大竹】思いっきりヘタレのカッコつけ男・大竹と、彼の気持ちを知りながら意識して知らんぷりをし告白してくれるのを待っている斉木のお話。キスすらしない恋のお話っていいよね。
【シュミジエ】人間に興味が無かったシャツ職人が理想の体形の男に惚れて、ただの男になっちゃったお話。キスしかしないお話もいいよね。
【極東追憶博物館】帰る国を無くして寂しい男と彼の「手」に惚れてしまった男のお話。女性の手だと思って惚れこんで、将来の夢まで語るくらい好きになった「手」の持ち主が男であった場合、想像と違ったといって去っていくのが普通なんだろうと思いますが、「どんな姿でも愛せる」と言った告白を違えることなく愛しぬいたグレゴリーもすごいし、愛されることを嬉しく思い、手だけでも差し上げたいと切り落とそうとするヤスオもすごい。痛いけどあったかいお話でした。
【役に立たない人】世間の役に立たないのなら僕の嫁になっちゃいなよってお話?いやいや、夢の世界を漂っていた人を現実に引き戻したお話じゃないでしょうか?
【恋蜘蛛】これも嫁話。これは女性でも話が成り立つみたいですねぇ。
【ウルトラマリンブルーシティー】【アクアマリンブルーウォーター】人魚と人魚の魂を半分分けてもらった男のお話。恋というのとはちょっと違うような気もします。運命の片割れといったところでしょうか。なぜか引き合い離れられない。それは恋と等しいのでしょうか?ちなみに、人魚が脱皮!するとは!
【楽しい俳句教室 春麗ら】【夏来る】上司の命令で俳句を習うことになった男と、若き俳句の先生の、すっとぼけたお話。それって、俳句って言うよりオヤジギャグですよね。
というわけで、ウルっとくるお話、ププッと吹くお話取り混ぜた短編集でした。