久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

蛇とワルツ (SHYノベルズ 236)

蛇とワルツ (SHYノベルズ 236)

  • 蛇とワルツ

★★★★☆
読了してすぐにでも感想を書きたかったのに、3日も放っちゃった。面白かったのですが、「犬」越えしなかったので★4つです。
ペットシリーズ最終巻ですって。終わりなのは残念ですが、どんな蛇なんだろうってワクワクしながら読みました。最終巻にふさわしく、ペットラバーズオーナーの仁摩が主人公です。で、お相手が蛇の杏二。客とトラブルをおこし、再教育のため仁摩預かりとなるのですが・・・
何につけのらりくらりとかわし、箸にも棒にも引っかからないくらい俺様でゴーイングマイウエイだと思ったら、ガラリと正反対の人格に変身して見せるような杏二と、仕事熱心な大人であるものの、その背景は子供の頃から複雑で、トラウマのかたまりで、傷つきたくないからこそ他人と深くかかわろうとしない仁摩。そんな二人がどうやって心を通わせていくのかだけでも十分お話ができそうなところに、問題会員・御法川議員や仁摩を振った元カレ・袴田絡みの事件も重なって、予測不可能な展開に・・・
中盤までは俺様とツンデレでどうにかうまくまとまってめでたしめでたし、にしては残りのページ数が多いなぁと思っていたのですが、私的には予期せぬどんでん返しな展開になり、これをどうやって収束させていくんだろうとなんだかサスペンスものを読んでいる気分にもなりました。
仁摩の相談役として、私の大好きな「犬ほど素敵な商売はない」の轡田×ユキカップルがいい感じに絡んでくれたのもうれしかったです。
二人で同じ道を進むため開いたパーティー会場の舞台裏で抱き合いながら、自分を繋ぎとめておくように洋司(杏二)に求める仁摩が思った、“孤独とは誰しもが抱えている荷物なのかもしれない。  その大きさや形が違うだけで、すべての人の心に棲むものなのかもしれない。・・・中略・・・生と死が不可分であるように、自我と孤独もまた表裏一体なのだろう。”という言葉が、このペットラバーシリーズの言いたかったことを簡潔に表しているのかなと思いました。
ちなみに、一番エロかったのはやっぱり倫也との3P場面でしょう。

涙の中を歩いてる (ガッシュ文庫)

涙の中を歩いてる (ガッシュ文庫)

  • 涙の中を歩いてる

★★★☆☆
厚い割りに読みやすかったのですが、熱くなりきれなかったので★3つ。ユウが従順過ぎたからなぁ。
ゲイをカミングアウトして大学生活を送りながら、ゲイバーに癒されにいっていた有也は、子供の頃に世話になり憧れていた医師・高林と偶然再会します。彼のサディスティックな性癖を承知で誘いに乗り、辛いことを強いられるようになるのですが・・・
この作品において作者は、説明のつけようがない性癖があるということを言いたいのではないかと思います。そしてそれは、フラストレーションを昇華してくれるかっこうのはけ口と言うわけなのですね。実際にやってしまえば犯罪になってしまうような行為も、頭の中で妄想しているだけなら何ら問題が無いように、双方が承知で行うSMプレイも好みの問題であると言えるでしょう。なのでこの際、高林の好み云々を取り沙汰しようとは思わないのですが、この説明のつけようが無い彼の性癖を、「好きだから」(10年も思い続けていたわけですが)という理由だけで受け入れられてしまう有也の一途さの方が、健気で一途過ぎてちょっと怖い。
有也の大学の親友として、宏樹くんが登場しますが、反対に彼はいい人過ぎる。有也くん、どんだけぬるま湯の中にいるんだよって感じ。・・・こう書いて、ああそうか、だからなおさら高林とのSMな関係が超痛く感じるんだろうなと思いました。(実際、ベルトで打たれたらのたうちまわりたくなるほど痛いでしょうが。)
で、私としてはSMスキーなのでこんなお話もOKなのですが、高林の設定として、有也と再会する前からSだったわけですから、「ベルトで打つ」とか「バスローブの紐で縛る」とかではなく、専門の道具を使ってやるべきじゃないかと思いました。ボトムを壊すのはSの資格なしでしょう。
しかし、高林先生は今後Mを思いやれるSに育ってくれるのでしょうか?ちょっと心配。

丸角屋の嫁とり (ディアプラス・コミックス)

丸角屋の嫁とり (ディアプラス・コミックス)

  • 丸角屋の嫁とり

★★★★☆
時代劇だ、時代劇だ、時代劇だ〜〜〜!時代劇、好きです。
親の勝手な事情で娘として育てられてしまった鈴。彼のかわいそうなところは、早いうちから自分の性別は男とわかっていながら、娘として振舞わなくてはならなかったことでしょう。さらに、町で助けてくれた新三郎という町人に憧れて、男として生きたいと思った矢先に嫁入り話。なんてかわいそうなんでしょう。
しかし、その嫁入り先が新三郎のところで・・・時代劇だからこそありうる設定が、現代ものならファンタジーになってしまいそうなエピソードをすんなり受け入れさせてくれています。ただの“嫁”ではない存在の鈴の裏話(あとがきに書いてあります。)も読んでみたかったよ。
続編「丸角屋の手代」では、いっしょに育った鈴のうばやの孫・荘太が大きくなってからのお話。なんだかんだで幸せな生活を送っているのだろう鈴と新三郎の元へやってくる荘太。親に、なりたいものを否定され、綺麗なお姉さん・鈴に慰めてもらいたかっただろうに、男とわかってカルチャーショック。さらに、鈴と新三郎との関係には入り込む隙間など無く・・・荘太、なんていい子なんだ!幸せにならなきゃいけないのは君の方だよ。
しかし、月代を剃ってあるお兄さんがこんなに可愛いとは!描き下ろしに於いてまでも、男にこだわる鈴とベタ惚れの新三郎が可愛いわー。
同時収録は「新しい武器 前後編」と「吉野が二人の関係に気づいた日の話」です。過去のトラウマのため、自分の周囲に壁を作ってしまっていて、会社でも浮いている神田と、神田の下につけられた何もわからない新人・染谷(実はトラウマ持ち)のお話、ちょっと吉野君(彼らの同僚)絡みです。染谷のおかげで神田のいい部分が引き出され、神田のおかげで染谷の欠けた部分が埋められて、めでたしめでたし。染谷を神田の下につけた部長さんGJです。が、続編「吉野が〜」があってはじめて完結するなぁと思いました。本編は哀しいもの同士が引き合い気持ちが盛り上がったところまでのお話、続編はこの先恋人同士として付き合っていけるよね?よかったね、ついでに吉野君も一つ大人になれちゃったねっていうお話だとおもいます。