久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

ワケアリ (二見シャレード文庫 な 2-10)

ワケアリ (二見シャレード文庫 な 2-10)

  • ワケアリ

★★★★☆
マグロ漁船だ、間違いなく男だけの世界です。
「ワケアリ」では、艶かしい美しさのある若い男・志岐の“ワケアリ”な部分と、乗組員の男たちを惑わすような色気が元で引き起こされる問題と、彼にどんどん惹かれていく船長・浅倉のお話が描かれています。マグロ漁の壮絶な様子、志岐の過去と現在、最終的には過去から解き放たれることになるわけですが、登場人物がそれなりに多くて個性的なためか、漁船の中という限られた空間で結構壮大なお話になったと思います。オチがあっさり付きすぎた気もしないではありませんが・・・
「帝王」では、晴れて恋人同士になった浅倉と志岐の奔放なエッチと、漁場を荒らしに来た鯱の群れ事件とが交錯して、見ようによってはファンタジックなくらいのお話になっています。ちょっと現実から離れ気味っていう感じ(本当のことを知りませんからなんとも言えませんが・・・)ですが、そこはそれ、海の壮大さとか、自然の驚異とか、果ては自然破壊の問題まで考えさせてくれたので、よしとしましょう。
元ヤクザのベテラン船長・浅倉はカッコよくて頼りがいがあるオヤジで、ステレオタイプですが、志岐に手玉に取られるとキレてイチモツを見せたがるところなど、大変可愛い存在です。なよやかで優男なので、一件女っぽく見えそうな志岐ですが、力も技も人一倍あり、エッチにおいては受身ではあるものの一歩も引かず、挑発までする積極性。結局彼の本性は見えたのかまだ謎なのか・・・
クリスチャンの漁労長、お祈りを欠かさないアラブ人のサイード、男になりたいオカマの剛三、コックの浜やん、などなど、癖はあるけど気のいいおっさんたち(ばかりではなかったのですが…)が、悲しかったり暗かったりしがちなメインストーリーを横から明るく引っ張っていってくれています。

ROSE GARDEN (プラザCOMIX Hollyセレクション)

ROSE GARDEN (プラザCOMIX Hollyセレクション)

  • Rose Garden

★★★★☆
悪魔と天使の存在を考え直したくなるお話です。小説は積読中なので、その後のお話を読むためにそろそろ引っ張り出してこないといけませんね。(小説にはこの後のお話もあるんだそうで。)
泣けるお話なのですが、どこで泣いたかと言えば、心優しい悪魔のウォーレンの悲しみに同調したわけでも、独りよがりな天使のカイルが他人を思いやる気持ちを持てるようになったことを喜んだからでもなく、語り部であるスネアが身近に接しているのに手助けできず、ただ傍観者として語ってきた内容と、命を全うし魂となったときにカイルの心に語りかける部分に涙しました。
実は、禾田さんの絵は私の好みではありません。しかし、天使と悪魔を描いていただくには適任だったと思いました。幻想的な雰囲気が良く、羽が綺麗だと思いました。