久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

かくも強引な彼に俺は (リンクスロマンス)

かくも強引な彼に俺は (リンクスロマンス)

  • かくも強引な彼に俺は

★★★★☆
広告業界に関係する男たちのお話が2話入っています。本編と続編というより、スピンオフってやつでしょうか。
表題作は大手代理店勤務のやり手のカコイイ営業マン・川埜と小さい会社でお仕事がんばる美人なCMプランナー・塚越のお話。顔も身体もお仕事も、三拍子揃った俺様気味な川埜と、美貌の割りに気さくで真面目、CM製作のセンスはいいものの小さい会社のためになかなかそれが発揮できない塚越が、ある企業のCM製作のオリエンテーション会場で出会ったことから始まります。塚越の才能は認めながら、出来レースから手を引くように言ってみたり、都合も考えずに代わりの仕事を回してきたり、セクハラととられてもおかしくないようなアピールをしてきたり、終始、川埜の傍若無人ぶりが発揮されているのですが、それでも仕事における川埜の指摘は的確で、憧れ尊敬できる部分が多いので、塚越はどんどんほだされていくのでありました。このお話の特徴は、なんといっても川埜が“強引”な割りに当りがやわらかいところでしょうか。やっていることは結構強引なのですが、なにかにつけさらりとかわしてしまうようなスマートさがあるのです。今までよくあるタイプの俺様とは一線を画している感じ。塚越くんの美貌にも才能にもおごらずに、いつも一生懸命頑張っている姿も好感が持てました。その分、あっさりとしたお話になってしまった感もありますが、私としては満足でした。
その分、「かくも冷淡な彼に僕は」が濃いキャラクターだったので、バランスが取れたかなっと思います。カバーイラストはこの二人です。川埜と同じ会社のデキる後輩、代議士の家系に生まれたゲイの二階堂と、二階堂家に何かわだかまりのある、フリーカメラマン・小曾根のお話。仕事で組むことになった二人ですが、二階堂が一生懸命な割りに小曾根の方は機嫌が悪くて・・・。間違いなくマゾっ気があるでしょうと言いたくなるくらい打たれ強く我慢強いド近眼(ここ重要)の二階堂は、以前から小曾根のファンでもあって、嫌がられていることはわかっていながら、現場が上手く回るよう、自分の仕事をこなしています。ある日酔っぱらった小曾根ととうとう関係を持ってしまい・・・仕事で組むことになった塚越に向ける小曾根の視線に嫉妬し、それでも抱かれることを悦び、心が自分に向いていないことに気落ちする日々。追い討ちをかけるように嫌いな理由を聞かされ、さらに父親の賄賂疑惑事件が・・・こちらのお話で何が凄いといえば、二階堂の人間性でしょうか。自分を殺し、冷静に判断し、周囲が滞りなく回るように気を配る、普通だったらキレてしまってもおかしくないくらいの逆境に置かれても、その冷静さを崩さす静かに仕事を全うする。一番大人で男前なのはこの人だと思いました。で、その彼の内面の葛藤たるや痛々しいくらいなので、最終的に誤解も解けて小曾根に受け入れられたときにはよかったねと涙ぐんでしまいましたよ。小曾根は表題作の脇役で、そこから発展したお話だということですが、私としてはこっちの二人のお話の方がより面白かったです。
全編を通して、広告業界の裏側や代議士の事件など、お仕事スキーにも満足のいくお仕事っぷりでうれしかったです。

コイビト恋人変人 (SHYノベルス)

コイビト恋人変人 (SHYノベルス)

  • コイビト恋人変人

★★★★☆
おかしなタイトル、奈良氏のイラスト、中をパラパラしたら関西弁、つい手を出してしまいました。学生とかヤンキーとかあんまり興味が無いのに・・・でも、おもしろかった。
各章が登場人物誰かしらの一人称になっていて、斬新な仕立てです。主に受けのナツ目線、攻めの京介目線で語られますが、どういうわけかモヤシメガネ目線の章もあります。
何のことは無い、ケンカに明け暮れる同じ高校のヤンキー仲間が、なんだかんだで恋人になっていくまでのお話です。あれこれエピソードはあるものの、何かにつけケンカしているという・・・お互いを分かり合うのもケンカという・・・お前ら幼稚園児か?っていうくらい・・・なんですが、なんか憎めない面白さがあります。
結局主人公二人は親友からコイビトへ変化していくわけですが、他にナツを英雄視している“モヤシメガネ”くん(かわいそうなことに、名前も出てこない)、もう一カップルのハルちゃん×透(こっちのカップルのお話も読みたいな)、京介の家族、京介の先輩と一癖も二癖もある人たちが絡むことによって、ちょっと奥行きが出たと思います。難点を言わせていただければ、クスリを盛られるお話は要らなかったんじゃないかと・・・スレちゃいるけど純情な高校生なんだから、クスリは勘弁してほしいなと思いました。愛があればクスリが無くてもエッチは出来るでしょう?

ハニートラップ (ディアプラスコミックス)

ハニートラップ (ディアプラスコミックス)

★★★★☆
表題作は、お金が必要な大学生が、売れっ子のビューティーディレクターに恋の罠を仕掛けるお話。自分の方が落ちちゃったようですが。身体を張るほどのお仕事な訳ですから、妹の事故でお金が…っていう設定にはちょっと無理があるんじゃない?って思いました。エッチシーンは、描き下ろしも含め大変色っぽかったです。
「サタニストの愛情」は、利害関係が一致した二人が恋に落ち、復讐?するお話。悪役があくまで悪役だったのでいっそすっきりいたしました。
「その件につきましてちょっと」は、男男女の三角関係にさらに男が加わるというものですが、酸化還元みたいな?うまい具合に2カップルに分かれてよかったねという・・・
今回も全体的に「フワフワとしているのに辛辣な部分もある」という高井戸節を読ませていただきました。