久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

ただ、優しくしたいだけ (キャラ文庫)

ただ、優しくしたいだけ (キャラ文庫)

  • ただ、優しくしたいだけ

★★★★☆
愛するということを知らなかった男が、好みでもなんでもなかった少年に心を育てられるお話です。
優秀な一族の中の異端児だった隆次は家族と絶縁状態にあります。しかし、同じく風変わりな叔父・連には若い頃から世話になっていたので、彼からの無理なお願いを無視することもできません。今回はお金の無心ではなく、絵や造形に才能を見せるものの一風変わっているハーフの少年・アズを預かってほしいというもので・・・
理想的な一人暮らしをしていた隆次なので、始めのうちは何から何まで気に入らず、理解する努力もせずに、アズのことを厄介者扱いしていましたが、セフレの明彦が彼にセクシャルな興味を持ってから、俄然庇護欲が沸いてくるのです。お話は、連とアズの関係の謎と明彦がらみの事件とで進んでいきます。ストーリーとしては、ちょっと先が読める感じもありましたが、それも興ざめするほどではないのでよしとします。また、アズが製作する絵やオブジェなども重要な役目を負っています。また、隆次が生活するためにしっかりお仕事をしているお話が読めるところが私のツボでもあります。(お仕事話大好きです。)
19才のわりに外見や態度が幼いアズは、一生懸命だし、健気だし、危なっかしいので、最初は義務感で世話を焼いていた隆次が少しずつほだされていく様子をうかがうことができます。それまで金銭的にも人間関係も理想的ではあっても無味乾燥だった隆次の生活に、血が通ってきたといったところでしょうか。意味や価値などは二の次で、“ただ”優しくしたいと思える存在を得た隆次です。頼りないアズのおかげで人間的に成長した大人の男のお話だと思いました。エッチシーンも結構入っていますが、私としては最後だけで十分じゃないかと思いました。もし、途中のエッチにはっきりした理由を持たせるなら、アズは周りが思っているほど子供じゃない、彼にも恋愛感情があるんだというアピールがもっと欲しかったかなと思います。

君のおいしい愛し方 (ビーボーイコミックス)

君のおいしい愛し方 (ビーボーイコミックス)

  • 君のおいしい愛し方

★★★★☆
短編が10本でひとつのお話になっています。帯に書かれているように、「ケーキと引き換えに、Hを要求されちゃって!?」というお話なので、けっこう姑息なパティシエさんなのかなと思いきや、意外とナイーブでいい人なのでそれはそれでよかったと思います。どうしても最初はかの洋菓子店とイメージがダブってしまい、いけないいけないと自分に言い聞かせなくてはならなかったのですが、ケーキ大好きな宇佐美くん(ケーキ屋アルバイト)がパティシエの春日さんに好意を抱くようになった頃にはこの作品自身を楽しめるようになりました。カバーイラストが艶っぽいので、どれだけエロい内容だろうかと身構えていたのですが、そちらはそれ程でもなく、少しずつ近寄っていく気持ちがていねいに描かれているので好感が持てます。各話ごとに独自のエピソードもあるので、二人の関係のもどかしさだけではなかったところがよかったと思います。
他に色々なテイストの短編が入っていますが、中でも「お気に召すままに」がお気に召しました。ヘタリーマンがテーマのようです。眼鏡美人が思いっきり従順で、なすがままのヘタレ攻に見えます。俺様(女王様?)が襲い受けしちゃっているようなシチュエーションのお話なのですが実は・・・手のひらの上で転がされていたんですねぇ。

恋する暴君 (5) (GUSH COMICS)

恋する暴君 (5) (GUSH COMICS)

★★★★☆
先輩の成長に★5つつけてもいいくらいですが、森永くんがあんまり目立たなかったので4つで。
せっかく同棲?を始めたのにラブラブ気分にはほど遠い毎日の二人。ある日突然先輩がカナダに旅立ってしまって・・・先輩に相手にされていない森永君は、そういう意味ではいつもの通りなのですが、カナダで一人暮らしを始めた先輩の方に意外な変化が訪れてくれました。なんだ、やっぱり気になっているんじゃないですか。わかっちゃいますが素直じゃないんだから・・・先輩ってばどれだけ女王様なんでしょうか。でも、そこは白馬の王子様?森永くんがカナダまで押しかけてきてくれちゃったので、一件落着。ま、落着する前にひと騒動あるんですが、バスルームで悶々と水を浴びる先輩が・・・もういいかげん認めちゃいなさいよっていう感じ。逆にホント、あきらめないし打たれ強いですよね森永くん。さて、この先どう展開するのでしょうか?
この本はコミコミさんで購入したので、かけ替えカバーが付いていました。今回同時収録の番外編「ぼくたちの失敗」がカバーになっているのです。森永兄が色っぽいです。口絵と同じなんだけど、カバーで題名が入っているからもっといい感じです。さて、そのお話の方ですが、なかなかアダルティーでした。そもそもホモっ気の無い兄ですから、そういう状況に陥っても簡単に自分の心に向き合えないのだと思います。妻には離婚を切り出され、傷ついているところに親友だった男と再会。かけ替えカバーの裏表紙にまとめてあるあらすじが全くその通りなので、書き写します。

  • 誰からも望まれる、正しい生き方。それが最良の人生だと思っていた。 「普通」でないことは俺にとっては罪悪だった。                だから、弟と俺の親友が恋人だと知ったあの日、俺は驚き、二人を罵った。その言葉がどんなに二人を傷つけるかも解らずに―。            それから数年、結婚生活に失敗して「普通」を失うかもしれない危機に直面した俺は、あの日以来音信普通だった親友と偶然再会する。        助言を求めて無邪気に彼に縋った俺は、また一つ罪を犯していることに、まだ気づいていなかった・・・。                           森永の兄・国博と真崎の邂逅。衝撃の展開、そして逃れえぬ恋の業―・・・

哀しいかな自己中な森永兄に怒るべきなのか、真崎の懐の深さを期待するべきなのか、この先が気になる終わり方でしたが、どちらにせよ本編とは正反対のシリアスものでありました。こういう、自己中男が苦悩するお話も結構好きだわ私。