久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

言ノ葉ノ花 (ディアプラス文庫)

言ノ葉ノ花 (ディアプラス文庫)

  • 言の葉の花

★★★★★
とっくにCDを聴いていて、小説の方は積読だったのですがやっと読みました。やっぱりこっちも良かったです。
他人の心の声が聞こえてしまう余村と、感情表現が苦手な長谷部のお話。ある日突然他人の心の声が聞こえるようになってしまった余村は、人間の裏面を知ることとなり、疑心暗鬼に陥ります。それまでの生活を全て捨て、今では家電量販店の契約社員で働いている彼ですが、ちょっとした出来事で他の売り場の社員・長谷部が自分のことに好意を寄せていることを知ります。仏頂面の長谷部の心の声は純粋で、余村にとって大変心地よいもので、いつしか余村も長谷部に好意を抱くようになるのですが・・・
聞きたくもない他人の気持ちを聞いてしまうという苦悩、悪意のない心の声を持っている人もいるんだという救い。無防備な心をさらしてしまっているという不安、それでも好きな気持ちをどう始末つけるべきなのかという苦悩。聞いてしまう人と、聞かれてしまう人の葛藤が苦しいほどに伝わってきます。メールという通信手段も効果的に使われていて、余村だけでなく長谷部の戸惑いも十分伝わってくるのです。
やっと二人の気持ちの折り合いがついてめでたしめでたしだと思われたのですが、元はひとつのお話だったという続編の「言の葉の星」では声が聞こえなくなった余村の再びの苦悩が描かれます。今までは、声を聞くことによっていつの間にか情報を得て、自分が傷つかないようにうまく立ち回っていた余村が、聞こえなくなったことにより今までとは逆の疑心暗鬼に陥るのです。そこまで疑り深くなっちゃうのかというほどに。小さな嫉妬と足りない言葉でどんどん溝は深まるばかり・・・
はっきり言って何も悪いことをしていない二人が、どうしてこんなに苦悩しなくてはならないんだろうかとかわいそうにもなりますが、聞こえるときも聞こえなくなってからもお互いを必要とし、悩みながらも固く結ばれてくれた二人だからこそ、神様が出合うきっかけとして苦しい試練を与えてくれたんじゃないかと思いました。真面目で純粋な長谷部くんの今までの頑張りに対する神様からのプレゼントが余村だったんじゃないですか?

  • 言の葉日和 (同人誌)

★★★★★
↑のお話の裏話プラス、その後のラブラブ話です。
長谷部くんがいかにして余村さんを好きになったかという詳しいいきさつを交え、ラブラブデートが描かれています。どうにもこうにも言葉が足りないタイプのうえ、遠慮がちな長谷部のプロポーズのような言葉に驚き、その態度に触発され焦れて、誘ってしまうくらい煮詰まっている余村が意外とリードするタイプなのにまた驚きました。きっと果奈ちゃん(長谷部の妹)へのカミングアウトは何の問題もなく済むと思うのは私だけではないはずです。