久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

204号室の恋 (ディアプラス文庫)

204号室の恋 (ディアプラス文庫)

  • 204号室の恋

★★★★☆
期せずして2LDKの204号室に同居するハメに陥った二人のお話。全ての考え方が型にはまっていて、きちんとしていなくては納得できない性格の柚上(スーパーの店長代理)は、人当たりはいいけれど大雑把なタイプの芸大生・片野坂との生活に大きなストレスを感じます。ただし、小説の出だしからわかるように、柚上はアルコールが入ると素が出るものだからなかなかおかしな展開になっていくのです。私としては涙もろい週間に入っているのか、一々ウルウルしちゃうようなお話でした。
慣れない土地に転勤するのはいつものこと、何事もやるべきことを“ちゃんと”やればそれでいいと思っていた柚上ですが、苦情を言ったり受け流されたり、職場の人間関係がギクシャクしちゃったり、心無い言葉で片野坂と友人たちを傷つけたり、遠距離恋愛の恋人に会いに行けば振られ、9才も年下の男に慰められ、と今まで正しいと思ってきた自分の生き方が揺らぎだします。
片野坂の学友、ゲイのユキヤや妊婦の佳映。柚上のスーパーのおばちゃんや本社の面々。柚上のほうが大人だからしっかりしないとと思うばかりに、却って彼らに振り回されてややこしくなる二人の関係。もう、じれったいやらせつないやら。
片野坂の背景が鮮明になることにより、柚上のわだかまりも解けアルコールの力を借りなくても素直になり、めでたしめでたしなのでした。どう考えても頭が硬い嫌な奴にしか見えなかった柚上を、かわいい人にしてしまえる片野坂に脱帽。

椿びより (EDGE COMIX)

椿びより (EDGE COMIX)

  • 椿びより

★★★★☆
帯にうたわれているとおり、「毎日が、ときめきの、連続。草食系男子のほのぼの恋愛未満ストーリー」です。
手芸作品を商売にしている椿くんと、中学の時の同級生・サラリーマンの平岩くん、バツイチ平岩の一人娘・史生のただひたすら心温まる日常が描かれています。椿の気持ちは顔や態度にに出やすいらしく、平岩への淡い恋心とか、照れたり恥らったりとけっこう理解しやすいのですが、ポーカーフェイスな平岩は本当のところどんな気持ちでいるのかなかなかわかりづらい人でした。でも、あまり目立たない部分で椿のことを考えている、結構シャイな奴なんでしょう。無言で椿に「俺の懐に入ってこい、入ってこい」って腕を広げているようにも見えます。
こういったお話では、例えば椿のような立場にいるキャラが不幸だったり閉じこもっていたりし、平岩の立場では俺様だったり冷たかったりして、二人の世界に閉じこもりやすいのがよくあるパターンだと思いますが、この二人はきちんと社会生活をし、家族があり、友人がいるのです。なんといってもそこに好感が持てます。
で、一番気に入ったシーンは3人で動物園に行った帰り、史生と椿の内緒話。「あのね たろくんと おとうさん だいすき」「俺も 史生ちゃんと 平岩が だいすき」 です。それから、オマケ漫画の湯呑みの一件。平岩くんったらー。

レオパード白書 (1) (ディアプラス・コミックス)

レオパード白書 (1) (ディアプラス・コミックス)

  • レオパード白書 1

★★★☆☆
完全予約制のカリスマクラブ“レオパード”のホスト・絢は、「お金があれば いくらでも 一人で生きていける」と思い、類まれな美貌を利用しながらも身体は売らず、言葉のゲームで誘導し、客からいかにお金をむしりとるかばかりを考えている。そこへ彼の時間を破格の現金で買い取るという男・真行寺が現れて・・・ホモの婚約者としてコスプレさせられたり、呼び出されては流されるままにエッチしてしまったり・・・。いつもは自分が誘導する側にいたはずなのに、真行寺には逆らえないどころか心惹かれていく絢。真行寺は神に全てを与えられたような男の中の男で、絢も別な意味の美貌と才能を神から与えられたプライドの高い男です。二人の関係から見れば、お金を出した真行寺の言うがままなのは仕方がないし、ビジュアルからして真行寺×絢なのはそれでいいとして、もう少し絢の抵抗する姿が見たかった気がします。絢の男としてのプライドをもう少し見たかったので★が3つになりました。

小説 Chara ( キャラ ) 2009年 07月号 [雑誌]

小説 Chara ( キャラ ) 2009年 07月号 [雑誌]

★★★★☆
あきらめきれなかった二人のお話。
高校時代の担任の教師・水原と同窓会で再会した棚橋は、それまで忘れていたくらいの存在だった水原にどんどん惹かれていきます。結婚を前提に付き合っている女性がいるのに、水原への思いは大きくなるばかりで・・・
生徒と教師という関係だった頃、大人同士という今、趣味や価値観が似ていて居心地のいい場所・・・恋人に抱く責任感、結婚という現実・・・男同士という関係、恋はいつか終わるものという解釈、よりを戻したがっている先生の過去の恋人・・・
結構スマートに生きてきたと思っていた自分が、自己嫌悪に陥るほど嫌な奴に思え、さらには自分に正直になろうと人生を賭ける決意をする棚橋。水原の答えがないままお話は終わるのでした・・・