久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

純情アイランド (ディアプラス文庫)

純情アイランド (ディアプラス文庫)

  • 純情アイランド

★★★★☆
読み始める前、ラブコメらしいのにやけに本の厚みがあるので、どれだけ読み応えがあるんだろうと期待が高まり、読み始めた初っ端で“期待はずれだったか?”と心配になったのですが、比名瀬のある意味天使のような天然ボケと崎浜の意固地なヘタレに引っ張られ、意外と面白く読めました。
離島と男らしい攻め(貧乏大家族の長男・崎浜)と天然の受け(資産家のおぼっちゃん・比名瀬)で始まったお話は、続編で遭難と記憶喪失が加わります。(あとがきより)庶民の感覚から大きくはずれている比名瀬に、小さい頃から惚れ込まれている思いっきり庶民の崎浜は、比名瀬のことを邪魔にしながらも気にかけているのです。島から出られない事情がある崎浜、街(本州)での合コン、崎浜の彼女などが絡んでくるのですが、崎浜がなかなか自分の気持ちを認めません。やっとお互いにわかり合えたのかと思ったら、肝心なところでヘタレな崎浜のおかげで振り出しに戻っちゃったりして・・・。続編では崎浜の気持ちが比名瀬ラブに変わっているので、今度は比名瀬(ある事故で、崎浜関係のことだけ記憶喪失)を振り向かせるという逆の立場になっております。あとがきで作者も言っているように、この作品だからこそ詰め込めたベタな部分をファンタジーとして素直に受け入れることにより、非現実的なお話を楽しむことができました。
一番印象に残っているのは、比名瀬が記憶喪失になって“自分の頭の中は穴ぼこだらけだ”というところです。もともと頭の八割を占めていた崎浜のことがすっぽり抜けてしまっている彼の心もとなさがよく現れていると思いました。また、どんなところに行くよりも好きな人といられることが一番いいという、恋愛の基本に気付かされるお話でもありました。

泣かないで、大久保くん。 (マーブルコミックス)

泣かないで、大久保くん。 (マーブルコミックス)

  • 泣かないで、大久保くん。

★★★★☆
仕事帰りの新幹線でいつも一緒になる樋口くんと大久保くんの、恋愛未満のちょっといい話。この際恋愛に発展しなくても、親友でいてほしい二人です。樋口くん生殺し状態ですが、カバー裏のようなお付き合いが一番しっくりくるかなと思いました。
表題作も含め、4つの短編と1つの中編が入っています。大人だったばっかりに大人でいようとして辛い恋になってしまった大人の悲恋「あかねいろ」と、お互いが遠慮がちで慎重で、あと一歩隔たりを感じている二人が優しさでその壁を越えていくお話「下り電車の恋人。」は大人の雰囲気漂うお話でけっこう好きです。
お隣の男×男カップルのおかげで?めでたくまとまったグルグルタイプの幼馴染のお話「2LDK」は、主人公カップルよりお隣の二人のほうが好みだったりして。