久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

★★★★★
ちょっと甘いけど★5つ。だって好きなんですよこういうの。
一流の精神科医兼心理カウンセラーの(実は自分は精神的に崩壊していると自覚している)嶌と外国人と間違われるくらいの美貌と怜悧な態度で阿修羅王と異名を持つ凄腕の救急救命医師・齋川のお話。齋川の上司の依頼で彼のケアを第一目的に北斗総合病院に招かれた嶌は、齋川の人格に違和感を感じます。齋川がなぜこのような人間になったのか、その彼を嶌がどう救い上げていくのかがこのお話の読みどころだと思います。外見が良すぎて遠巻きにされ、腕が良すぎて煙たがられ、愛されるとか愛嬌を振りまくとかを知らないから世渡りも下手で、“必要とされる自分”を作ることによって存在価値を見出している齋川に哀しさを感じます。
その齋川と嶌が密接に関わっていくうちに恋愛に発展していくわけで、齋川が少しずつ心を開いていくところは可愛くって仕方がないくらいですが、欲を言えば嶌の獣的な内面がもっとワイルドに出てきてくれていたら、文句なしの★5つだったと思います。
私は「チームバチスタの栄光」を読んだことがあるのですが、丁度心療内科医の田口さんのポジションと嶌のポジションがよく似ているなと思いました。ま、田口さんは犯人探し、嶌は齋川のケアが目的なのでお話はまるっきり違いますが。
春原さん自身が医療従事者ですから、いつも安心して白衣もののお話が読めます。(私も端くれなので、あまりに現実離れしていると、一気に幻滅してしまうので。)今回も齋川の手際であったり、嶌の心理分析過程だったり、病院内の様子であったり、スタッフの動きであったり、臨場感溢れていて大変楽しめました。
あとがきも、高群さんの4コマもいいですよ。
で、CDにして欲しい!この3タイプの人格を声で聞かせて欲しいです!