久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

あばずれ (ビーボーイノベルズ)

あばずれ (ビーボーイノベルズ)

  • あばずれ

★★★★☆
けっこう過激なタイトルで傷だらけの美少年の表紙なので、痛い系のお話を期待しちゃっていたのですが、コメディでした。ネタバレすると面白さが半減してしまいそうなので、できるだけネタバレしないように感想を書きたいと思います。
三拍子も四拍子も揃っている弁護士の上月要と子沢山の父子家庭(9人家族+よその人がいるときあり)の長男でいつも傷だらけの惣流陸のお話。そもそも美少年の陸は男に言い寄られることも多く、生活費の足しにするため時々彼らからお金を巻き上げておりました。電車の中で気になった上月を次のカモに選んだものの・・・いつもの手はずで振り回そうと思っていた陸は、上品でいい人にしか見えない上月の手のひらの上で弄ばれているような状態になってしまうのです。それくらい上月の方が上手で変態(←はちょっと言い過ぎかもしれませんが)で、自分のことを「あばずれ」と言い切る陸の方が余程純情で可愛く思えるくらいです。そもそも陸が、傷だらけの割にはめちゃくちゃいい子なのですが、“育ちが悪い”ことを盾に“男同士”の恋愛に区切りをつけようとあがくので、男っぽいワルになろうなろうとするわけですが、いちいち“いい子”が顔を出しちゃうので結局ワルくなりきれないままなのです。(ここが一つ目の楽しみ。)どっちにしてもなんだかんだで二人はラブラブなので、もうひとつの楽しみとして、周囲の人を観察するといいかと思います。父親の一郎を始めとする惣流家の面々は大変複雑な家族構成なのに皆仲良くて楽しそうだし、両親と妹の上月家はただひたすらいい人たちの集まりです。そこに可愛そうな獣医・志垣や上月の従妹・里美たちが絡んできて、よりいっそう楽しくなっております。
贅沢を言うのなら、もうちょっと上月のマニアックな性癖を前面に出していただいても良かったかなと思います。(それじゃSMになっちゃいますかね?)それから、始めのうちに退場なさってしまったヘタレの志垣獣医のその後と、最後の方で突然現れた一郎パパが拾ってきた習字男のことが大変気になります。

世界の中心で愛なんか叫べねーよ (EDGE COMIX)

世界の中心で愛なんか叫べねーよ (EDGE COMIX)

  • 世界の中心で愛なんか叫べねーよ

★★★★☆
「ラブ&カタストロフィー」の続編なんですって。大昔過ぎちゃって、ストーリーを忘れていますわよ。本はマグマの底ですわよ。なので仕方がないから、新しい感覚で読むことにしました。
エロ漫画家の春人とそのヒモ(?)イチローのラブラブなお話に絡めて語られる人情もの?でしょうか。犯罪なのか本心なのか結局よく分からないけれど、八重(老女)はきっと安らかに天国へ行ったんだろうなと思えるお話(表題作)を始め、過去の過ち?に区切りをつけたり、悲恋を見守る人になったり、ゲイが自分に素直になるきっかけを作ってあげたり、寅さん?これって寅さんぽくない?
同時収録「恋する惑星」ってどんな惑星?って思ったのですが、ちゃんと意味が分かったよ。ゲイでブラコンの智久が兄の友達・池谷と上手くまとまるまでのお話なのですが、最後のコマが最高でした。

愛がなければ 1 (MIU恋愛MAX COMICS)

愛がなければ 1 (MIU恋愛MAX COMICS)

  • 愛がなければ 1

★★★★☆
先生×生徒、ゆきずりの関係、政略結婚、好きな人以外とのSEX・・・「抱きたくても抱けない、抱かれたくても抱いてもらえない・・・」って帯にあるように、禁断だったり障害だったり色々ある皆さんのお話なのですが、何は無くともまずはみんないい男なのが何よりです。嫌な奴がいないんです。お顔もスタイルも申し分ないし。それから、女性たちがみんな強い。もんでん氏はアイスエイジが好きなのでこれにも手を出してみたんですが、同じ様なポリシーを感じます。ただエロいのではなくて、芯があるお話はいいですよね。

Cab VOL.1 (MARBLE COMICS)

Cab VOL.1 (MARBLE COMICS)

  • Cab Vol.1

★★★★☆
全体的に良作揃いで大変満足しました。続き物がそれなりにあるので、★は4つどまり。
中でも巻頭読みきりの「夢は夜ひらく:ヤマシタトモコ著」の美容部員のお話は、行き詰っていた“化粧して女になりたかったゲイ”が解き放たれる話です。三崎さん(女性)がいいこと言ってくれてます。ありのままの自分を好きになってくれる人が側にいてくれて良かったですね刀根くん。
それから「みみクンのボーイの季節:雲田はるこ著」は二丁目でボーイをやっている薫チャンを好きなみみクン(工事前のオカマ)が、薫チャンの為に一念発起しちゃうお話。受×受ってこういうのを言うのね。
先が楽しみなのは「幸せになってみませんか?:腰乃著」、酔った勢いで寝てしまった“彼女に振られた男”と“彼氏に振られたオカマ”が同じ会社に勤めていて…よくある話といえばそうなんですが、なぜか気になるこのゴツイ二人の関係です。
あと、「八月の杜:TATSUKI著」、ワケあり転入生(高校生)のノアと彼が気になる蒼太のお話。まだまだどうなるかも分からない雰囲気ですが、二人の間の空気が好きです。
そして!別冊付録の「リバーズエンド:木原音瀬著」!!!!!号泣しちゃったよー、かわいそ過ぎなんだもんよー。父子家庭で父親は入院中、姉の稼ぎと自分のバイト代から父親が作った借金を返しながら、弟と3人つましい生活を送っている十亀(ゲイ)とひとりっこの同級生・二宮のお話。過去の経験から、あまりしゃべらず周囲と関わらないコワモテの十亀とにぎやかな一団にいた二宮がひょんなことで関わるようになって・・・食うや食わずの生活をしながらも心までは荒んでいない十亀と、十亀を慕う二宮は、お互いの家を行き来するような友達同士になるのですが・・・運命はかくも厳しく・・・一人ぼっちになってしまった十亀がはたして幸せなのかどうなのかは、次号から連載される「キャッスルマンゴー:原作・木原音瀬:作画・小椋ムク」に引き継がれるらしいですが・・・とにかく今回はこの家族のことを「かわいそう」と思うこと自体が偽善的だと思えちゃうくらい悲惨な生活をしてらっしゃるので、せめて二宮とうまくいってくれればいいと思っていたのですが、そんな簡単には終わらせてくれませんでした。ただ、二宮はホントにいい奴だと思います。今後十亀がどうなろうと、一生大事にすべき友達だと思いました。