久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

  • 朝から朝まで

★★★★☆
お話の中に色が見える作家さんなので、今度はどんな感じだろうと思いながら読みました。朝焼け?宵闇?そんな感じ。3つの題名がついていますが、それは各章の副題と考え、1つのつづいた作品として読めばいいのではないかと思います。
テレビ局の報道記者・京平と早朝番組アルバイトの結のお話。ただ、ディレクターの悦巳(京平の同級生)が結構目立つ存在なので、始めのころは悦巳と結のお話なのかと思っていました。で、この作品は結構お仕事色が強くて、私の好きな働く男たちのお話になっているわけで、真面目で堅物な京平も、軽いけれどポリシーはしっかりしていてやることはキッチリやっている悦巳も魅力的で、さらに明るいけれど今時の大学生とは思えないほど真面目な結(実はそうなった背景があるわけですが)が加わっていますから、私の苦手な非道徳的なエピソードが皆無に等しいのです。そういう意味では安心して読んでいられました。
女子アナへの嫉妬、悦巳の降板、京平作のドキュメンタリー、書き込まれた結の覚書帳、結がテレビに関わりたかったきっかけ、などなどが絡むことによって、不器用な二人の恋愛の様子を飽きることなく見守ることができました。ただ、お仕事の内容が面白いものだから、二人の恋愛に集中しづらい感が無きにしも非ずでした。
呼び出された公園に向かう自分の心を真っ直ぐ進む矢のようだと感じ、自分が進化していると思ったシーンでは、結の気持ちが大変よく表されているなぁと感心しました。またそこで、肝心なことが伝えられないまま京平が渡米してしまい、物理的に別れてしまった二人なのですが、予定より早く帰国した京平の言葉「何でもいい。何でもいいから、君に会いたかった。」でやっと、結ばかりがヤキモキしていたのではなく、京平の中にも熱ーい思いが渦巻いていたんだということが伝わってホッとしました。

TOY★PET (花音コミックス Cita Citaシリーズ)

TOY★PET (花音コミックス Cita Citaシリーズ)

  • TOY★PET

★★★★☆
ファンタジーなのに軽くない、そんな内容のお話でした。同じ小学校の教諭同志の阿津原と隼人。生徒たちの前に出ると後ろめたさを感じるという理由で隼人から別れを告げられた阿津原は、酔いつぶれた店で不思議なカプセルをすすめられます。入っていた人形を、説明書もきちんと読まずに戻してしまったら、隼人と瓜二つだけど性格は正反対の男(ハヤト)になって・・・ところが、このハヤトが我儘だけど結構いい相談相手になって・・・結局、隼人から復縁を申し出られた阿津原は、24時間放っておいたせいで人形に戻ってしまったハヤトに後ろめたさは感じながらも、めでたしめでたしで1話目が終わるのです。
ところが、あれこれあってハヤトが復活、さらにハヤトのイタズラで隼人がアツハラを作っちゃったから関係は複雑に・・・
代用品としての存在であるはずのハヤトやアツハラが、我儘だったり横柄だったりはするものの、言動は意外と道徳的で、なかなか憎めない可愛い存在なので、世話焼き体質の阿津原ではなくても、人形に戻られればいくぶん寂しさを感じるだろうし、復活したものの愛する人は他にいればどうにかしてやりたいと思うのではないでしょうか?本来ならば阿津原×隼人の恋愛模様を追うべきなのでしょうが、ハヤトやアツハラが寂しくならずに済んでよかったとばっかり感じてしまう私です。
こういったお話の場合、コメディで終始してしまうものが多いと思いますが、これはなんだか考えさせられるものがありました。
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  • 色のある世界

★★★★☆
つづくので★4つ。でも続きが待ちどおしいくらい面白かったです。
表紙を見る限りでは、「覚悟したか小野田くん」と思ったのですが、慎重な小野田くんはそう簡単に落ちません。「相手を一番大事に思う」ってしっかり自覚して付き合っている恋人たちってどれくらいいるんでしょうか?でも、真面目な小野田くんはそこにこだわる。さらに、ことに及んだ時のシチュエーションを考えてはグルグル。出口さんと突っ込んだ話をしたらしたで、墓穴ばかり掘っちゃうし・・・
どうにかなるきっかけってどこにあるんでしょう。
今まで何度も言ってきましたが、私はバージンのまま嫁に来て旦那しか知らないので、一歩前に進むための努力をしたことがありません。「新婚初夜の気持ち」が近いですか?だれか教えてほしいなぁ。

最悪 (幻冬舎ルチル文庫)

最悪 (幻冬舎ルチル文庫)

  • 最悪

★★★★★
間違いなく男同士だ!受けがヘタレていない!もうそれだけで★5つです。
ワイルドな社長・有堂(作者曰く、強引・頑丈・無神経)と大学時代からの腐れ縁、総合商社課長・橘のお話。大学時代に起業して、金融業を営む有堂と、大学時代は恋人同士として暮らしていたものの愛想を尽かし彼の元から去った橘が、思わぬ災害で再会し・・・
どっちもどっちなくらいお互いに惚れこんでいる二人なので、これからどうなる?といったハラハラドキドキはないのですが、有堂のワイルドすぎる性格と、抱えているコンプレックスが大きすぎるからか、彼に振り回されいちいちひがみ、イラつきながらも放っておけない橘の言動で読ませてくれる作品です。
お話の主軸は橘の会社の仕事がらみなのですが、橘が活躍するのではなく有堂が輝いちゃうわけです。で、そのたび橘は惚れ直し、ほだされて、前のことなど帳消しにしてもいいと思っちゃうくらいなのに・・・また有堂は同じことの繰り返し・・・「悪運」の方では報復を企てるのですが・・・
とにかくお約束のように橘を振り回してくれる有堂なのですが、最初に出て行かれてから再会するまで、ショックで不能になっていたといういきさつがあるので、橘もすぐに許しちゃうんだろうなと思います。ホンっと割れ鍋に綴じ蓋カップルです。橘が有堂との関係を「なにがお察ししますだ」と心中ぼやくところがありますが、有堂だからこそ惹かれてしまったのだということが痛いほど分かりました。
今回の書き下ろしで、大学時代の馴れ初めが語られ、さらにちょっと心を入れ替えた有堂を垣間見ることができましたが、最後の落ちは・・・
やっぱりそうですよね。そうじゃなくっちゃ。
実はビブロス版を持っているはずなのですが未読のままマグマの方へ・・・CD発売になり、これは読まないとと思ってこれも積読だったのを引っ張り出してきた次第です。次はCDの感想です。↓
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  • 最悪

★★★★★
これぞ声にするべきドラマと言って過言ではないでしょう。
神谷君お疲れ様でした。あなたの橘は最高に橘でした。
森川さん、あなたの有堂も俺様なのが目に浮かぶ有堂でした。
ストーリーは1枚目が「最悪」2枚目が「悪運」になっています。多少カットされている部分はあるのですが、ドラマにするにあたり割愛した程度のことで、それがなんだかを知りたい方は原作を読めばいいのかなと思います。もちろん、原作において不要だと思ったわけではありません。
で、何が良かったのかといえば、橘の「罵詈雑言」に聞こえなくもない長ゼリフです。あれだけの不満をぶちまけるエネルギーに男を感じちゃいました。ヒステリーを起こしているお母さんのようでそうじゃない。で、それだけ沸騰しちゃっている橘をさらに煽りながら、いつの間にか懐柔している有堂の才能に感心しちゃうのでした。それから、「最悪」においては嵐のシーンがあるわけですが、いやー、臨場感溢れてました。大丈夫?ハラハラドキドキっていった気分。惜しむらくは小野田さん(橘の仕事相手、手作り玩具製作者)がおじさんくさすぎたこと。3歳の娘のパパなのに、孫がいる感じがしちゃった。ま、40過ぎっていう設定なので仕方がないかもしれませんが。太田くんはバカっぷりが憎めず、堤さんは嫌な奴でした。↑の書き下ろし分までドラマ化して欲しかったなぁ。