久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

愛しているにもほどがある (二見シャレード文庫 な 2-9)

愛しているにもほどがある (二見シャレード文庫 な 2-9)

  • 愛しているにもほどがある

★★★★☆
発売日を過ぎてもどこにも売っていなくて、昨日やっと手に入れてきました。
シリーズ2作目なのにとっても面白かったです。続き物ではないし、1作目でカップルが出来上がっているし、エピソードだけで同じシチュエーションのお話を引っ張るのはなかなか難しいと思うのですが、コメディの部分とシリアスの部分の緩急の付け方が絶妙で結構でございました。★5つにしてもいいかなと思いましたが、北原があまりにもステレオタイプの悪役だったので、ちょっと減点。
昔別れた息子・昌一がやってきて金をせびられている男・山浦と、斑目(元・凄腕の外科医、現・日雇い労働者)を連れ戻しにやってきた美貌の外科医・北原(元・斑目の部下でありセフレ)が、斑目と坂下(貧しい町の診療所の医師)のそれなりに平和だった関係を乱してくれます。
自分の信念のもと、真面目に山浦と息子を説得しようとする坂下と、彼らが犯罪がらみの方向へ引っ張られるのに入れ知恵までしてしまう北原。多少の抵抗は感じながらも、斑目の男としての魅力にぞっこんで、なにかにつけ結構依存していると言ってもいい坂下と、外見も良く実力も備わっていて完璧に見える北原。私が斑目でもかわいい坂下を選ぶとは思いますが、坂下の立場だったら北原に相当なコンプレックスを抱くのは間違いないわけでして、お話は坂下がグルグルしている状態で進むわけです。
表紙や口絵の坂下がなぜホイッスルをぶら下げているのかとか、今回も斑目が神の手を発揮させるのかとかは読んでみてください。ストーリーの主軸とはあまり関係ありませんが、坂下が患者に股間を見せなければならなくなったエピソードとか、大団円後の“お医者さんごっこ”的な二人のエッチとか、あとは斑目のオヤジ的発言や双葉(未だに謎めいた男、でもいい奴)との関係とか、コメディタッチな部分が大好きです。
もうひとつ私の好みを言わせてもらえば、北原の人物設定として「苦労人だった過去」より「苦労せずに生きてきたけど、心理操作に長けていて、苦労人のふりをしたりすることなど朝飯前の、超頭脳派」のほうがもっと嫌なやつになってよかったと思うのですが、誰か賛同してくれませんか?

それでもアナタの虜 (キャラ文庫)

それでもアナタの虜 (キャラ文庫)

  • それでもアナタの虜

★★★★☆
ここまで真面目な主人公だと評価は分かれるのかなぁと思いますが、私としては真面目大好きなので、もどかしいまま1冊過ぎるようなお話でしたが、★4つ差し上げます。
クソ真面目な売れっ子モデル・椿原と新進気鋭のデザイナー・榎並は、榎並が下積みのころからの恋人同士で、榎並から「養子縁組」というプロポーズまでされたことがあるのに、椿原は世間体や将来のことばかり考えて、彼らの関係を知る人は3人しかいないというような秘密の関係を続けていました。ところが榎並が突然、「15歳の少年・翔を養子にする、モデルもさせるから椿原が面倒見て欲しい」と言い出したのでさあ大変。それでなくても多忙でなかなか会えなかった二人なのに、間に翔がいるからなおさらギクシャクしてしまい・・・。
彼が好き。 彼の夢を叶えたい。 彼の側にいて、彼との関係を続けたい。 と思っているのに、なにかに付け「彼の足を引っ張りたくない。」と予防線を張ってしまう椿原の態度は、見る角度によっては大変女々しく、偽善的でもあると思うのですが、私には真っ白な天使の羽が見えるようで、なんだか救われる気分になりました。好きな人の為にこんなに考えてくれる恋人、そんなひとが不幸になるわけがありません。
全体を通して、翔くんがおじゃま虫となっているわけですが、二人の事情を知っている3人が大変協力的でいい人なのと、榎並自身も愛すべき存在で、椿原への愛情にもブレが無いのでハッピーエンドになってくれます。作者曰く、我慢の椿原と忍耐の榎並とのことなので、読者としてももどかしいのは我慢しなくちゃいけませんね。