久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

月下の縁 (ガッシュ文庫)

月下の縁 (ガッシュ文庫)

  • 月下の縁

★★★☆☆
つまらなくは無かったんですが、二人の関係や背景にもう一つ説得力が欲しかったので★3つ。
中国とか香港とかが舞台のお話はいくつか読んだことがありますが、中華街が舞台のものは初めてだと思います。時代も昭和30年代前半っていうのもなかなかお目にかかりませんね。そういった意味では斬新でした。
良家の子息として生まれたものの家は没落し天涯孤独になってしまった晶が、家も姓も捨て中華街で仲介屋としてなんとか生きている時の月夜に出合った男・凱士との運命的な恋のお話です。晶は、台湾人の華僑・敬生とは幼馴染で、恋人同士でもあります。日本の戦後復興と中国の大躍進政策の間で不安定になりながらも、どうにか均衡を保っていた中華街へ凱士が参入してきて、台湾人にばかり被害が出始めます。敬生やその両親に多大な恩のある晶は、凱士の違法もなにも気にしない商法にストップをかけるため、「禮義隊」に協力し体を張って凱士のもとにもぐりこむのですが・・・正義感や結束力はあってもただ突っ走るだけの台湾人の若者たち「禮義隊」も晶自身もはいまひとつ計画に甘さがあり、晶は早々に尻尾をつかまれます。自分はともかく敬生を守らなければならない晶は、凱士に言われるがまま囲われ、「接客」として複数の男たちにあの手この手で体を開かされるのですが、自分の哀しい生い立ちと凱士の抱える暗い部分が惹かれあうようで、敬生を守るためとは言いながら体も心も凱士を愛するようになっていくのでした。
晶の「双麻家」についてや、凱士の中国での立場や日本との関係など、もう少し詳しく語られるかその部分が事件に大きく関わってくると、ドラマにもっと奥行きが出たかなと思います。晶が強いられる陵辱のあれこれを目的で読むのであれば、ソコソコ楽しめるとはおもいますが、私はどうしても彼らの背景が気になっちゃって・・・

英国式、十六夜綺談 (GUSH COMICS)

英国式、十六夜綺談 (GUSH COMICS)

★★★☆☆
天邪鬼の美城は、人猫・紫紺とともに住みにくくなった日本を離れイギリスで暮らしています。そこへ現れたミステリーハンターだというエドワードに心惹かれ、紫紺の嫉妬をよそに深い関係になっていくのですが・・・
美城が冷静さを欠くと「天邪鬼」なので話す言葉が裏返るので、人間が好きなのに今まで誤解されてばかりだったのですが、エドワードはその真意を的確に捉え、あまつさえ鬼の姿を現してしまっても優しい態度は変わらないのです。しかし、その彼も暗い影に囚われていて、十六夜の日にだけもう一つの姿・デュアルに変わります。昔魔狼を食ったというドクター・シェルケも絡んで、エドワードの秘密を解明していく方向にお話は進みます。最終的にエドワードの魔を自分に取り込み消滅させるというやりかたはなかなか面白いと思いましたが、デュアルが非常にかっこよかったので、いなくなっちゃったのは残念な気もしました。ま、二人はハッピーエンドなので、次はドクターと紫紺のお話にでも発展させていただけると嬉しいなっと思います。