久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

堕ちゆく者の記録 (キャラ文庫)

堕ちゆく者の記録 (キャラ文庫)

  • 堕ちゆく者の記録

★★★★☆
拉致監禁陵辱ものです。
アパレルメーカーのデザイナー阿東英司(A)はある日突然社長の石田敬一(K)に拉致され、頑丈な檻の中に監禁されます。1ヶ月限定と言われるものの、全く原因もわからずに戸惑う英司。何不自由なく育ち外見も申し分なく、社長業もパワフルにこなしている石田は、出生に秘密がありそのトラウマを抱え心に深い穴を持っていて、自己肯定感の確立のため「成人男子を拘束して、思うまま再教育を施したい」と思います。ごく普通の家庭で育ち、仕事に夢を抱き勤勉に働いてきて、才能の限界を感じたときは諦めて現状で頑張ることもできるし、社長の期待も大きいデザイナーだったし、性格も決して悪くない英司に白羽の矢を立て、衣食住のみならず排泄・セックスに至るまで支配され、生活全てを石田無しでは生きていけない状態に少しずつ追い込んでいきます。それでも英司は気丈に正気を保ち折あらば脱走・復讐する為に、石田の傍若無人なやり方に反発してみたり従ってみたり、あれこれと計算していくことを覚えます。しかし何日も経つうちに、石田を憎む心を持ちつつも、深い穴に惹かれていき、狂気に堕ちそうになる自分を保つ為に、毎日書くことを義務付けられている日記帳にデザイン画を描くようになります。・・・・・
最終日に近いある日、偶然が重なり英司は脱走するのですが・・・
十月一日のKの日記が全てを物語っています。それまで狂人としか思えなかった石田が人間に近づき、全うな人間だと思っていた英司が少しだけ壊れることにより、支えあう二人の関係が出来上がったのです。
状況としては狂っているとしか言えないお話ですが、先日読んだ同人誌「狂人推奨」に比べれば、余程愛のあるお話だったかなと思います。カバーの石田の睥睨しながらも闇を宿す表情と、英司の挑むような目線がストーリーを訴えています。