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シェフは強欲につき (角川ルビー文庫)

• シェフは強欲につき

★★★★☆
今度は老舗フレンチレストランのシェフと副支配人のお話です。２４年前から好きだったと迫るシェフ・飯塚の傍若無人な態度が許せず冷たく接する御園。そんなことはお構い無しに強引に関係を進めてしまう飯塚。いやなら思いっきり突っぱねればいいのに、一々押し流されて気持ちよくなってはまたへそを曲げる御園。その繰り返しで少しずつ関係が進み、結局お互いなくてはならない存在になっていくといったストーリー展開。
先が危ぶまれる老舗のレストランを再興させるためのあれやこれやと、味と接客のプロとしてのお仕事と、今回もお仕事を堪能できました。しかし、こんな短期間にあれやこれやをさせる背景にちょっと無理があったかなと思います。大抵のイベントの企画立案から当日までには相当の日数を費やすのが一般的で、特にディナークルーズなどの場合、招待客のことを考えると、アイデアを出してから企画を練り、招待状を出し・・・をしていたら１ヶ月程度の期間ではどうにもならないですよね。と、現実的に考えちゃったので、読みながら「ファンタジーファンタジー」と言い聞かせていた部分が数箇所ありました。飯塚くんの事情もあるので、短い期間のお話になっちゃったんだと思いますが、せっかくなので飯塚くんにも少しくらい我慢していただきながら、少しずつ育まれる愛情のお話にしても良かったかなと思いました。このシリーズ（シリーズって言っていいんでしょうか?）はそれぞれエッチシーンが濃いですが、こちらもご多聞に漏れずガッツリです。特に飯塚くんは“言葉攻め”御園くんは“ツンデレ”の極みです。

幸運の理髪師 (キャラコミックス)

• 幸運の理髪師

★★★★☆
評価的には★4.5にしたいところです。人と目を合わせるのが苦手な大男・司が、理容師・那智に散髪してもらったことによりすっかりいい男に変身。とんとん拍子で芸能界の人気者になったのですが、基本は寡黙な超奥手で、一目惚れした那智に告白もできないままオフの日は理容店のお手伝いに通っています。那智は那智で司が好きなのに、ゲイである自分がお荷物になってしまってはいけないと我慢をしていたのでありました。那智の元彼の出現で、お互いの想いは通じ合うのですが、研修生がきたり芸能界の事情があったりで一喜一憂しています。とにかく、仕事にも恋愛にも真面目で可愛い二人なので、安心して読めるし“じーさまコンビ”ではないですが、温かく見守ってあげたくなります。
同時収録の「SSS」もなかなかユニークな設定で、ショートショートが3つある仕立てがいい感じでした。三者三様健気な恋愛をなさっていて、こちらも楽しかったです。乙女なドSと、こわもてヘタレと、セックス依存症の皆さんですが、お相手が心の広い人でよかったねです。
おまけの4コマ漫画もなかなかです。

赤い河 (MARBLE COMICS)

• 赤い河

★★★★☆
両親が亡くなって二人で暮らしている兄弟ものです。近親ものは基本的には好きではないのですが、「どこがいけない」と開き直っているのではなく「業を背負って生きていこう」という考え方がいいと思いました。居候に来た兄の同僚・千秋（ゲイで、ゲイを否定する兄がいる）が兄弟の関係をかき回してきますが、彼をも「実家に帰ろう」と思わせるくらいの愛情を示せる静かな強さを持っています。
その他、生徒×先生、隣の家の幼馴染と再会、既にカップルになっている幼馴染の悩み、おじさん×高校生、高校生同士、と様々なカップルのお話が読めますが、どれもキュンとくるいいお話です。カバー裏にも番外編あり。

calling (バーズコミックス リンクスコレクション)

• calling

★★★★☆
1冊全て同じカップルのお話。最初の事故のような出会いで片方は一目惚れ、もう一方は怖くて逃げ出した、AV男優・煌×冴えないサラリーマン・一明たちのお話です。初恋だといって迫ってくる煌に困惑しながらも、断りきれずに付き合いだす一明ですが、少しずつ煌の占める位置が大きくなり、無くてはならない存在となっていきます。
AV女優夏海ちゃんや一明の同僚、煌の両親など要所要所で脇の皆さんが活躍してくれて、メリハリのあるいいお話に出来上がっていると思います。特に、煌がAV男優ということから、もっとエロが前面に出てくるのかなと思っていたのですが、（作者もその予定だったらしい）必要なところに、丁度いいくらい入っていて、かえって読みやすかったと思います。

ひめごとははなぞの 1 (シルフコミックス 11-1)

• ひめごとははなぞの１

★★★★★
面白いので★５つ！すっとんじゃってるところがいい！今のところ悪い人が出てこないのもいい！
田中家の双子の片割れ愛君が中学入学とともに女の子になっちゃったからさあ大変っていう話。さあ大変という割には、愛がとにかく幼くて可愛いので、もうそれだけで8割がた満足。女の子言葉を使うわけじゃないのにどうしてこんなに可愛いんでしょう。で、田中家の兄さんズも個性的なイケメンで満足。特に青龍と白虎は完璧におとうさんとおかあさんだし。それから、同級生の櫻井が何かありそうで今のところ好青年（中1だけど）なのがまたいい。蝶子が美少女なのに遠慮がないところがいい。居候の洋は今後どんなポジションになっていくのか気になるし、双子の片割れ恋の行く末も気になる。