久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

ここのところ、不破慎理氏の読み直しをしています。

幸福(しあわせ)の法則 (Charade books)

幸福(しあわせ)の法則 (Charade books)

  • 幸福の法則

★★★★☆
親同士の再婚で兄弟になった二人のお話。兄弟になることを知らないままに出会い、身体の関係を持ってしまったため、複雑な思いを抱いている16歳の良一。母親と義父との関係を祝福しながらもやり切れず、9歳上の義兄の大人な態度にイライラするなど、思春期のこどもらしい複雑さがそこここに見受けられます。義兄の森太郎は達観した感じのある大人で、ジタバタしている良一の気持ちをくみとっては懐深く包み込みます。これだけでは、良一が女の子でも話が成り立つんじゃないかと思えますが、母と二人の生活で乙女な母を守ってきたいきさつや、ヤンチャで甘ちゃんで女の子よりこどもっぽいことなどを考えると、良一は男の子である必要があったんだなと思えます。

パーフェクトワールド (2) (Charade books―Comics)

パーフェクトワールド (2) (Charade books―Comics)

パーフェクトワールド (3) (Charade books―Comics)

パーフェクトワールド (3) (Charade books―Comics)

★★★★★
欠点が無いとは言いませんが、このお話がとっても好きです。「優しい関係」で貧乏くじを引いちゃった田村くんが主人公です。お父さんが亡くなり、実家のタムラモータースを継ぐ為に山岡自動車をやめ岡山に戻った傷心の田村くんが、同窓会で再会した堺を好きになり・・・
大変重い過去を背負っている堺は、気丈に振舞う時と折れてしまいそうな時があり、普段必要以上に厳しい態度をとるくせに、支えを必要として縋りつくような目で訴えたりもするので、面倒見のいい田村が放っておけないのもよく分かります。お互いが寂しさを抱えているため、身体の関係になるまでにはそれ程時間がかかりませんが、堺の心の中の葛藤が決着つくまでに時間がかかるので、コミックス3巻分にもなってしまったんだとおもいます。しかし、それでだらだらした展開になるのではなく、もう一つの若いカップル井村×重藤の可愛い恋を絡め、田村の元カノも重要な役割をしつつ、お話が進みます。なかなか素直な心を表に出せない堺が素直になり、田村への独占欲をあらわにしたとき、二人の進むべき道がはっきりとします。「パーフェクトな世界を求めるのではなく、不完全な世界を二人でどうやって生きていくかが重要」だということに気付いたのです。田村くん地道な努力が実ってよかったよかったです。
時々「優しい関係」の二人も登場。司は悪役状態です・・・ははは。