久江羽の読書?日記

長々放置しておりますが、時々腐的な何かを書くと思います

簡単で散漫なキス (新書館ディアプラス文庫)

簡単で散漫なキス (新書館ディアプラス文庫)

  • 簡単で散漫なキス

★★★★☆
エロを強化した作品らしいです。確かに今までの久我氏の作品の中では多めです。最初からセックスシーンだし。
セフレの関係にある周平と穂積、彼らを取り巻く周平の義兄・智良や穂積の恋人・エツオ、エツオの彼女・リナなどなどが絡み合い、本当に好きなのは誰なのか、カラダとココロで知っていくお話です。
最初は、周平と智良がまとまって穂積が捨てられるのか、周平が智良に振られて穂積にすがるのかなどといった展開を考えながら読んでいましたが、そうは問屋が卸してくれませんでした。
周平はどこにでもいるような熱い青年なので、先が読みやすいのですが、智良も穂積もタイプは違うもののきちんとした大人で、「守って欲しい」「頼りたい」なんていう甘い考えは持っていない人たちです。特に穂積は外見に反して登場人物の中で一番“漢”なのではないでしょうか。そこに持ってきて、エツオが徹底したダメ男なのでこっちはわかりやすい。「腐れ縁」の理由にも納得できました。
結局周平の智良に対する気持ちは「変わりに穂積を抱いて済む程度」、穂積に対する気持ちは「代わりがきかないレベル」ということで、よかったよかった。
展開に不必要なんじゃないかと思っていた、智良さんの元ヤン話もちゃんと伏線だったのに感心しました。しかし、ここまで穏やかな人がヤンキーだった時代って、どんなんだったんでしょう?気になる。
相変わらず、大阪弁(穂積と智良だけ)がいい味出してくれてます。